中田 球宴効果で力み消えた!3年連続後半戦開幕弾

[ 2012年7月26日 06:00 ]

<ソ・日>2回無死、決勝弾となる先制11号ソロを放つ日本ハム・中田

パ・リーグ 日本ハム1-0ソフトバンク

(7月25日 ヤフーD)
 もはや風物詩だ。日本ハム・中田が3年連続後半戦開幕弾。11号先制ソロがそのまま決勝打となり、日に焼けた顔をほころばせた。

 「スタートということで、どんな形でもいいから勝ってチームに勢いをつけたかった。勝利に少しは貢献できてよかった」。主砲は謙遜したが、少しどころか圧倒的な存在感だった。

 2回の先頭で初対戦となった摂津の2球目。139キロの真ん中高めを振り抜くと、打球は高々と上がって左翼席中段に飛び込んだ。上半身から力みが消え、バットのヘッドを利かせたスイングスピードと下半身の回転だけで球を運んだ。

 2年連続出場した球宴では、打撃練習で両リーグの強打者の打撃フォームをかぶりつきでチェックした。「ホームランや長打を打つ人はみんな気持ち良くスイングしている。僕みたいにむちゃ振りしている人はいない」。身上としてきたフルスイングから、力みを取り除くことを学んだ成果がいきなり出た。さらに全パを率いたソフトバンク・秋山監督からは「練習の時からホームランの軌道とか、角度を考えながら打った方がいい」とアドバイスされた。これまでもシーズン中から顔を合わせれば、何かと声をかけてくれた現役通算437本塁打のアーチストからの金言は23歳の胸に響いた。それだけに、恩返しの一発を素直に喜んだ。

 打つだけではない。5回2死一、二塁。代打・李杜軒(リー・トゥーシェン)の左前打が目の前で少し高く弾んだ。腕を伸ばして捕球する難しい体勢から、素早く本塁へワンバウンドで返球。二塁走者の内川を本塁で刺した。今季12球団トップの10補殺目に「無我夢中。ゴールデングラブを狙ってますから」と笑った。開幕から不振でも中田を全試合4番で起用し続けてきた栗山監督は前日、今後の状況次第では降格も示唆していたが「これをきっかけにしてほしい」と一安心。中田自身は残り3打席に凡退したことで「もっと勉強してやっていかないと」としたが、一発を放った過去2年の後半戦開幕は黒星スタートだっただけに、何より勝利につながった一打は格別だった。

 これで首位・ロッテに1ゲーム差と肉薄。3年ぶりの覇権奪回に向けた後半戦、チームの鍵をこの男が握ることを証明した。

 ▼日本ハム・清水外野守備走塁コーチ(5回の中田の好返球について)涙が出るよ。泣いてしまいそう。難しい体勢だったけど、いいところにコントロールしてくれた。

 ≪パ1位10補殺≫中田(日)が自身初の1―0決勝弾。チームの1―0決勝本塁打は、稲葉が08年5月23日の中日戦で打って以来4年ぶり。守っては5回に今季10度目の外野補殺。同じ試合で一発と外野補殺は、6月3日の阪神戦以来通算4度目だが、決勝弾との組み合わせはこの日が初めてだ。また、2桁補殺は昨季の11(パ最多)に続き2度目。2年連続2桁補殺は08、09年の和田(中)以来。日本ハムでは92、93年の鈴木以来19年ぶり。なお、パの外野補殺部門で2位とは4差でトップ。2年連続外野補殺王となればチーム初となる。

 ◆中田の後半戦開幕弾VTR◆

 ☆10年7月27日 スカイマークでのオリックス戦の7回1死、金子千の144キロ直球を捉え、2号となる左中間ソロ。打撃フォームを参考にしていたT―岡田の前での一発に「少し前までイースタンとウエスタンで本塁打数を争っていたけど、今は遠い存在。早く岡田さんのように恐れられる打者になりたい」。チームは2―6で敗れた。

 ☆11年7月26日 帯広で行われたオリックス戦の初回2死一塁で、金子千から右中間へ先制の2ラン。プロ4年目で初の2桁となる10号に到達したが、その後のチャンスで凡退しチームは3―6で逆転負け。「いいところで回してくれたのに台無しにしてしまった。チャンスで打点を挙げなかったのが一番駄目。まだまだ」と猛省。

続きを表示

この記事のフォト

2012年7月26日のニュース