ジャンプ男子ルールまた変更 スーツ股下ゆとり1センチ減…日本勢への影響は?

[ 2025年11月21日 05:30 ]

小林陵侑
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 ノルディックスキー・ジャンプは21日に開幕するW杯リレハンメル大会から26年ミラノ・コルティナ冬季五輪シーズンに突入する。国際スキー・スノーボード連盟は今季のルール変更で、男子のスーツの股下のゆとりを1センチ減らした。小林陵侑(29=チームROY)ら日本代表にとって、有利か不利か。影響を深掘りした。

 たかが1センチ、されど1センチ。ジャンプの世界でその差は大きい。五輪2大会連続金メダルを狙うエースの小林は、スーツの規定変更発表直後に言った。

 「圧倒的に技術が大事になる時代が来た。僕ら日本チームにとって凄く良いこと」

 新ルールでは、昨季までに比べてスーツの股下の長さが1センチ伸びた。ぶかぶかになるようだが、逆だ。ミズノ社でスーツ作製を担い、全日本スキー連盟のテクニカルスタッフを務める尾形優也氏は「股の方向に1センチ食い込み、股の下のゆとりが少なくなる」と説明する。ルールは毎年変化。袖下などにも変更があったが、今回は股下が最大の変更点となった。

 股下のゆとりが減ると選手は揚力(浮力)を得にくい。北翔大で長年、スキージャンプ競技を中心にスポーツ動作の研究を行う山本敬三教授は「1センチの影響は大きい」と断言。「要は翼を削られるような感じ。ジャンプは空気の力をいかに得るかが勝負の決め手。スーツで勝てる試合がなくなり、より選手のフィジカルのスキルによって競技が左右されるようになっていく」と分析した。

 技術力勝負となりそうな変更を、日本代表の作山憲斗ヘッドコーチは歓迎する。直近3年ほど、特に力を入れて磨いてきたというのがテイクオフ(踏み切り)の技術だ。「(スーツにゆとりがあると)テイクオフの精度がごまかせてしまう。ごまかしのないように、良い助走姿勢を組んで、しっかりと力を伝えることをやり続けてきた。選手たちにうるさいくらい伝え、ずっとやってきて良かった」と話す。テストを兼ねて五輪で使用するジャンプ台で行われた9月のグランプリでは、小林がラージヒルで優勝しノーマルヒルも3位。2人一組の「スーパー団体」では小林と二階堂蓮(24=日本ビール)組が2位と、本番に向けて大きな手応えを得た。

 ジャンプ界では例年、各国が“飛ぶスーツ”の開発を巡りルールギリギリの戦いを展開してきた。今年3月には規定外の素材を故意に使用したノルウェー勢の不正が大きな波紋を呼んだ。安全面から飛び過ぎ防止を目的とした今回の改定では、不正へのペナルティーも厳格化され、より競技の公平性が増す。規定に沿ったスーツを作製し、愚直に技術を磨いてきた日本にとっては、間違いなくプラスに働くはずだ。

 《女子は10月末に胴部分プラス1センチ》ジャンプスーツのルールは毎年変更されており、サマーシーズン後に変わることもある。女子も夏の時点では男子と同様の変更が行われたが、膝に重傷を負う選手が続出。空気抵抗が減り、ジャンプそのものの速度が上がったことが原因の一つであると指摘された。そのため、10月末にルールが再変更され、主に胴部分のゆとりを1センチ大きくする対策が取られた。

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