【体操】鹿島丈博氏 岡慎之助の特長は積み上げてきた基礎力に裏打ちされた「奇麗な体線」

[ 2024年8月2日 03:53 ]

体操男子個人総合 岡慎之助が金メダル

<パリ五輪・体操男子総合決勝>岡の床運動の演技(撮影・岡田 丈靖)
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 【斬る 鹿島丈博】初出場の岡は挑戦者として思い切った演技ができていた。勝因は実力が拮抗(きっこう)している張博恒と橋本にミスが出たのとは対照的に、優勝を争う重圧、緊張が高まった中でもミスをせず、着地を含めてコンスタントに決めきれたこと。基礎力が凄く高いからこそ失敗につながるような動きが出にくいし、技の完成度も落ちない。また、5月のNHK杯で2日連続失敗するなどネックだったあん馬を直前合宿などでしっかりと修正、調整できたことで“穴”がなくなった。

 倒立の美しさで分かるように、積み上げてきた基礎力に裏打ちされた奇麗な体線が特長で、日本の伝統である美しい体操の正統な継承者といえる。内村は自分のイメージを体現する能力が圧倒的に高く、橋本は練習に裏打ちされた完成度が強み。偉大な先輩に続く五輪王者となったが、岡は20歳でまだまだ伸びしろがある。跳馬は負傷前にロペスをやっていたし、鉄棒もまだ入れられる技がたくさんある。

 橋本は五輪王者として追いかけられる立場となり、多くのプレッシャーを受け止めてよく戦ったと思う。ケガをした後、直前合宿などで急ピッチで体調を上げていったため、その反動として本番では少し調子が下がってしまった可能性がある。

 4年後のロサンゼルス五輪に向けて岡と橋本が切磋琢磨(せっさたくま)して男子体操界を引っ張ってくれれば、日本はより強くなっていく。また五輪王者の重圧も2人で分け合えることがお互いに良い影響を与えると思う。(04年アテネ五輪団体総合金メダル、日本協会副会長)

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