宝香鵬、大谷、千鵬、竹丸…旧宮城野部屋4人引退 最年長34歳が最後の取組後に明かした悲痛な思い

[ 2024年5月29日 09:46 ]

旧宮城野部屋の宝香鵬(右)と大谷(24年1月撮影)
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 日本相撲協会は29日、夏場所限りで引退した力士を発表した。既に発表されている元幕内・琴恵光(32=佐渡ケ嶽部屋)の他に、幕下以下12人の引退が新たに発表された。うち4人が、旧宮城野部屋の力士だった。

 旧宮城野部屋で最年長力士だった07年春場所初土俵の幕下・宝香鵬(34=伊勢ケ浜部屋)は、17年間の相撲人生に終止符を打った。夏場所は全休しており、最後の取組となったのは東幕下30枚目で迎えた春場所13日目。膝のケガで初日から休場していたが、7番相撲だけ出場して日向龍をはたき込みで破って白星で締めくくっていた。

 当時は、元幕内・北青鵬による暴力事件の影響で宮城野親方(元横綱・白鵬)が師匠の立場を外され、部屋閉鎖処分が濃厚となるなど騒動に揺れていた。「宮城野部屋として最後になるかもしれないので師匠に(出場を)直訴した。宮城野親方の下、宮城野部屋の力士として最後に土俵に立ちたいというわがままを聞いてもらった」。宝香鵬は春場所13日目の取組後、最後に出場した理由を明かしていた。

 さらに、春場所時点での宮城野部屋を代表して力士たちの苦しい胸の内も吐露。「みんな…苦しんでます。身の置き所を考えなければいけないギリギリの精神状態の中で戦っています。若い力士が苦しまなければいけないのは悔しい。できれば相撲に集中して希望を持って稽古に励んでほしい。(宮城野親方は)私みたいな下の力士でも励ましてくれる優しい師匠です。親方のお人柄を批判するような記事を見ると悲しい気持ちになります」。この悲痛な叫びから6日後、宮城野部屋の閉鎖と所属員全員の伊勢ケ浜部屋転籍が正式に決まった。

 宝香鵬の他に、幕下・大谷(24)、三段目・千鵬(21)、序二段・竹丸(22)も引退。大谷は春場所の7番相撲を取り終えた後「決められたことは受け止めるしかない。僕は宮城野部屋に入ったので、部屋の移動はあまり乗り気ではない」と話していた。「宮城野部屋の力士」「宮城野親方の弟子」ということに誇りを持ち、転籍は受け入れられないという強い思いを持った力士は少なくなかった。1人の力士による暴力事件を発端に、“被害者”であるはずの力士たちが処分に苦しみ、最終的に力士生命を絶たれるという結末を迎えてしまった。

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