福岡第一が4大会ぶり5度目の優勝 宿命のライバル福岡大大濠を下す

[ 2023年12月30日 06:00 ]

バスケットボール全国高校選手権最終日   福岡第一63―53福岡大大濠 ( 2023年12月29日    東京体育館 )

4大会ぶり5度目の優勝を果たした福岡第一の選手ら
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 宿命のライバル対決を制した。4年ぶりの同県対決となった男子決勝は福岡第一が福岡大大濠を63―53で下し、4大会ぶり5度目の優勝を飾った。絶対的エースのポイントガード崎浜秀斗(3年)がチーム最多の18得点とけん引。OBでB1横浜に所属する日本代表の河村勇輝(22)が試合前に激励する中、期待に応えた。

 優勝を告げるブザーが鳴ると、福岡第一の崎浜はボールを天に放り投げて歓喜に浸った。チーム最多となる18得点で優秀選手賞を獲得し、優勝に大きく貢献。3ポイントシュートを3本入れた決定力と、第4クオーターには、PF世戸へ的確なパスを通して得点をアシストと、存在感は際立っていた。「本当にホッとしています。最高です」と笑みがはじけた。

 4大会ぶりに決勝で実現した福岡対決。試合前に大きなパワーをもらった。大会アンバサダーを務めるOBの河村が選手を激励した。9月に行われたW杯でパリ五輪出場権獲得に貢献し、現役時代はウインターカップで2連覇の経験がある偉大な先輩から「福岡対決だけど、そこはあまり意識せず、自分たちらしくやったら絶対に勝てる」と鼓舞された。W杯では1メートル72、72キロながら活躍する姿を見た崎浜は「小さな選手でも活躍できることをを証明されていた。自分たちのモチベーションになった」と目を輝かせる。

 崎浜自身、今大会に懸ける思いは強かった。9月に左足を骨折して戦線離脱。不在だった11月の福岡大会決勝は、現チームでは6戦全勝だった福岡大大濠に初めて敗れた。12月に復帰してからは「コミュニケーションに尽きると思っていた」。コート上だけでなく寮生活を送る中、食堂などオフの場面でも、とにかくチームメートと話した。部員は総勢115人。「みんなの思いを背負っている」とコートで表現した。

 今大会はノーシードからの出発。崎浜以外にもケガ人が多い時期があったことから、井手口監督は「正直いつ負けるのか。こういう気持ちで臨んだのは初めてだった」と打ち明ける。初戦で総体8強の仙台大明成との注目カードに勝利して手応えが生まれた。一戦ごとに力をつけていった。

 崎浜は来春から大きな夢に挑戦する。「スラムダンク奨学金」に選出され、高校卒業後の来年4月から14カ月の予定で渡米し、日本代表の渡辺雄太(サンズ)も通ったコネティカット州のプレップスクールに留学する。

 「いつか超えたい存在なので。そこは超えれるように頑張りたい」。河村に負けない世界相手でも通用する選手を目指す。 (杉浦 友樹)

 ◇崎浜 秀斗(さきはま・しゅうと)2005年(平17)5月8日生まれ、沖縄県出身の18歳。小学3年から競技を始める。福岡第一では1年時からレギュラーで活躍し、ウインターカップでは1年時に4強。前回大会は準優勝に貢献。U―16、U―17で日本代表。1メートル77、75キロ。

 ▽福岡第一 1956年(昭31)開校の私立高校。学科は普通科、国際科、音楽科、コンピューターAI科などがある。野球部も強豪として知られ、88年夏の甲子園で準優勝した。著名な出身者は角富士夫(元ヤクルト)、前田幸長(元巨人)、CHAGE、ASKA、池田エライザ。所在地は、福岡県福岡市南区玉川町22の1。

 《終盤の追い上げ及ばず》福岡大大濠は第4クオーターに24得点したが、終盤の追い上げは及ばなかった。「しっかりシュートを打ちきろう」というチームの約束事があったが、第2クオーター終了時点で14点にとどまるなど序盤に苦しんだことが響いた。片峯聡太ヘッドコーチは「受け身になってしまった。思い切りの良さが欠けたのが非常に悔いが残る」と唇をかんだ。決勝のスタメン1、2年生4人が新チームは残る。片峯ヘッドコーチは試合後に2メートル6の2年生センター渡辺に得点表示を見せて「1位と2位の差だ。来年、やり返すぞ」とハッパをかけた。

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