【バレーW杯】福沢達哉氏が語る運命の3連戦のポイント キーマンに指名したのはこの2人

[ 2023年10月6日 05:30 ]

残り3試合のキーマンになる山本智大(左)と石川祐希(撮影・小海途 良幹)
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 バレーボールのパリ五輪予選男子東京大会兼W杯で、日本は4試合を終えて3勝1敗で4位につける。上位2チームに与えられる五輪切符獲得へ負けられない状況で、きょう6日からセルビア、スロベニア、米国との3連戦に臨む。元日本代表でパナソニックパンサーズ・アンバサダーの福沢達哉氏(37)が、2戦連続ストレート勝ちを収めたチュニジア戦、トルコ戦を検証し、残り3試合のポイントを解説する。

 チュニジア戦は重要な試合だった。過去2戦は第3セットでつまずいたので、第3セットの序盤は緊張感があった。そこをうまく乗り切れた要因の一つはリベロ小川の投入だ。

 フィンランド戦もエジプト戦も第3セットで、スピードを増した相手のサーブに対応できず、レシーブが乱れて、リードを許し、焦りから日本らしいバレーができなかった。

 サーブレシーブが得意な小川は速いサーブを身をていして上げた。それが中央の攻撃につながり、リズムが良くなった。そしてチーム全体に“今日はいける”というムードが生まれ、呪縛から解放されたのだと思う。

 ブロックがいい高橋健を先発起用した効果も大きかった。1、2戦目は追い込んでいるにもかかわらず相手の攻撃を抑え切れなかった。しかしチュニジア戦、トルコ戦では、早い段階で相手のエースを止めたことで楽な展開に持ち込めた。

 残り3戦は実力的には互角の戦いだ。セルビアはエースを中心に高さとパワーで勝負してくるチーム。サーブで崩して、できるだけいい状態で打たせないようにすることが鍵になる。スロベニアは両サイドのモジッチ、チェブリ、ウルナウトが多彩な攻撃を仕掛ける。ブロックでコースを絞りレシーブで拾いたい。米国は3チームで一番サーブがいい。我慢強くパスを返して速い展開に持ち込みたい。

 キーマンは石川とリベロ山本智。石川はケガで出遅れたが、トルコ戦ではフェイントで落としたり、ラリー中に無理せずリバウンドを取ったり、状況判断の良さが随所に出た。元々スパイク自体は悪くなかった上に、感覚もベストに近い状態に戻ってきた。重要な場面で決める石川がエンジン全開で3連戦に臨めるのは心強い。

 セルビア、スロベニア、米国は攻撃力が高いのでレシーブがどれだけ機能するか。レシーブは攻撃の起点。石川や好調な西田、高橋藍にいい状態で打たせるためにもディグ(スパイクレシーブ)の軸になるリベロ山本智の役割は大きい。山本智は銅メダルを獲得したネーションズリーグでベストディガーに選出されるなど、名実ともに世界屈指のリベロ。彼の活躍で勝った試合も多く、山本智が目立つ展開になれば勝利に近づくはずだ。(元日本代表)

 ◇福沢 達哉(ふくざわ・たつや)1986年(昭61)7月1日生まれ、京都府出身の37歳。洛南、中大を経てパナソニック入り。ブラジル、フランスでもプレー。中大1年時の05年日本代表に初選出。08年北京五輪出場。21年8月現役引退。

 ▽パリ五輪への道 出場枠は開催国フランスを含む12。五輪予選は世界ランク上位24カ国(フランスを除く)が参加し、8カ国ずつ3組に分かれて1回戦総当たり戦を行い、各組上位2カ国が出場権を獲得する。残る5枠は来年のネーションズリーグ1次リーグ終了時(6月24日)の世界ランクで決まる。優先されるのは五輪予選で出場枠を獲得できなかった大陸の最上位国。余った枠は出場権を得ていない上位国に与えられる。

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