荒木絵里香氏「泥臭いバレーで相手国にストレスを」 日本女子22日から強豪3連戦 

[ 2023年9月22日 04:40 ]

チーム最多得点の井上(撮影・小海途 良幹)

 バレーボール女子日本代表は、パリ五輪予選東京大会兼W杯で、開幕4試合連続ストレート勝ちを収め、B組1位に立っている。22日からは」ベルギー、トルコ、ブラジルとの3連戦に臨む。元日本代表主将の荒木絵里香氏(39)がここまで4試合の戦いぶりを分析し、上位2チームに付与される五輪出場権を勝ち取るために必要な要素を解説する。 

 日本はサーブがよく走っています。特にいいのが戦術的サーブ。アタックライン付近に落とすショートサーブ、奥を狙った長いサーブを交え、コースを変えて打っているのが効果的です。ただ相手のパスが乱れたケースでも確実に仕留め切れないケースもあります。フリーボールをもらい、攻撃展開して得点するところまでがセットだと思うので、改善してほしいですね。

 井上選手が4試合でチーム最多の計55点と得点を量産しています。彼女は決め方のバリエーションが豊富。トスが合わないケース、ブロック2枚が付いた難しい状況でも、ブロックアウトを取ったり、プッシュで選手間に落としたり選択肢が多く余裕を持って判断できています。チームにとっては頼れる、相手にとっては嫌なアタッカーだと思います。

 古賀選手は、ずっと1メートル90以上のオポジットが前にいて、高いブロックと相対していました。トスがネットに近くなると、スパイクを決めづらい状況だったのは確かです。しかし役割は得点を取ることだけではありません。守備、精神面でも貢献しています。彼女にマークが集まる分、他の選手が点数を取れている面もあります。

 和田選手、石川選手、松井選手が途中出場で活躍するなど、全員がコートに入り、ほとんどの選手が得点を取っています。チームとして凄く良い流れで来ていると思います。

 ベルギーはエースが不在ですが、ミドルブロッカーに良い選手がいるし、欧州勢の高さは警戒が必要です。

 トルコは欧州選手権などの疲れが見えます。それでもバルガス選手、カラクルト選手らの高さとパワーは異次元。ブロックもいいし手ごわい相手です。

 ブラジルは正セッターが腰痛で来日していないものの、ガビ選手、タイーザ選手の存在感が大きくアタッカー陣は強力です。大事な試合では必ず力を発揮するチーム。拮抗(きっこう)した試合になるでしょう。
 残り3試合、スピードのあるバレーボール、多彩なコンビネーションで、相手にストレスをかけ続け、泥くさく戦うことが重要になります。積み上げたものを出し切り、パリ五輪切符を勝ち取ってほしいと思います。(元日本代表主将、トヨタ車体クインシーズチームコーディネーター)

 ◇荒木 絵里香(あらき・えりか)1984年(昭59)8月3日生まれ、岡山県出身の39歳。東京・成徳学園(現下北沢成徳)から03年東レ加入。イタリア1部ベルガモ、上尾、トヨタ車体でもプレーした。03年日本代表初選出。08年北京から4大会連続で五輪出場。12年ロンドン五輪は主将で銅メダル獲得。21年東京五輪でも主将を務めた。同年現役引退。

 ▽パリ五輪への道 パリ五輪出場枠は開催国フランスを含む12カ国。五輪予選は世界ランク上位24カ国が8カ国ずつ3組に分かれて、日本など3カ国で開催され、各組上位2カ国の計6カ国が出場権を得る。残る出場権は、来年のネーションズリーグ1次リーグ終了時(女子は6月17日)の世界ランクで、出場決定済みの7カ国を除く上位5カ国に付与される。

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