大野将平 “第二の大野育てる”指導者目指し英国留学発表「柔道家に引退はない。一生修行」

[ 2023年3月8日 04:50 ]

言葉を選びながら会見する大野(撮影・白鳥 佳樹)
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 柔道男子73キロ級で16年リオデジャネイロ、21年東京五輪を連覇した大野将平(31=旭化成)が7日、東京都内で会見に臨み、新年度から日本オリンピック委員会(JOC)のスポーツ指導者海外研修事業で英国留学すると発表した。全日本柔道連盟の強化指定を外れたことで24年パリ五輪での3連覇は絶たれたが、引退は否定。「柔道家に引退はない。一生修業」と明言し、第二の柔道人生をスタートさせる。

 畳の上では伝統的な柔道スタイルを貫いてきた大野は、節目となる会見でも、柔道を通じてつくり上げた哲学を貫いた。「柔道家に引退はない。一生修業だと思っている。引退とか一線を退くという、小さな枠組みでとらえていただきたくない」。昨年12月、JOCの山下泰裕会長の誘いを受け、留学を決断。2年間は英国で指導者修業することになるが、「欧州で柔道の楽しさ、接し方、関わり方が見えたら、もう一度試合に出るかもしれない」と含みを持たせた。

 一方、競技者として目標を失っていたのも事実だった。「東京五輪での2連覇以上の成功体験、感動体験は、今後の人生で超えていくようなものはないと思っている」と語った通り、自階級での実戦出場は東京五輪が最後。五輪2連覇により対戦したい選手が「同じ階級にいない」ことも決断につながった。

 山口市出身。中学入学とともに上京し、柔道私塾「講道学舎」に入門した。6年間は「入って1週間で、人生を間違えたと思った」と振り返るほどの厳しい稽古を積み、二つ(両手で)持って投げる柔道を磨き上げた。勝敗にかかわらず畳の上では感情を出さず、2度の五輪ではその振る舞いも称賛を浴びた。「山口の田舎から出て来た少年がここまで来たので、合格点じゃないかなと思う」と柔道人生第1章を振り返った。

 「私の柔道を伝承した後輩を輩出して、もう一度柔道界を盛り上げられたらなという思い」と指導者としての目標を掲げた大野。伝統的に重量級出身者が就く男子日本代表監督にも「求められれば、ぜひと思う」と意欲を示す。柔道人生第2章も、大野将平だけの道を歩む。

 ◇大野 将平(おおの・しょうへい)1992年(平4)2月3日生まれ、山口県出身の31歳。7歳で柔道を始め、東京・世田谷学園高―天理大―旭化成。中高時代は柔道私塾「講道学舎」に所属。世界選手権は4度出場し13、15、19年に優勝。16年リオデジャネイロ五輪、21年東京五輪で日本柔道史上7人目の五輪連覇を果たした。得意技は大外刈り、内股。右組み。1メートル70。

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