角界コロナ新たに6人…大相撲・高田川部屋でクラスター発生か 親方と十両・白鷹山が感染

[ 2020年4月26日 05:30 ]

元関脇・安芸ノ島の高田川親方
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 日本相撲協会は25日、高田川親方(元関脇・安芸乃島、53)と弟子の十両・白鷹山(25)が新型コロナウイルス感染症のPCR検査で陽性反応を示したことを発表した。親方衆と十両以上の関取の感染判明は初めて。このほか、幕下以下の力士4人の感染も発表されて、10日に陽性が確認された力士も含め、協会員の感染者は計7人となった。2週間延期された夏場所(5月24日初日、東京・両国国技館)の開催は極めて厳しい状況となった。

 今月10日に力士初の新型コロナウイルス感染者が発表されてから約2週間、角界の感染は広がっていた。日本相撲協会によると、高田川親方は発熱症状があったため、23日にPCR検査を受け、同日に入院。24日に陽性が判明した。同部屋の白鷹山は発熱などの症状はなかったものの、検査で24日に陽性が確認され、25日に入院したという。その他に幕下以下力士4人の陽性と入院も発表されたが、部屋名、力士名は公表されなかった。

 ただし、複数の関係者によると、10日に陽性反応を示した幕下以下力士も高田川部屋所属で、新たに陽性が発表された幕下以下力士も2人以上が同部屋。最初の感染者が発覚して以降は、保健所からの指示で、高田川部屋で生活する協会員に対して部屋待機と稽古禁止を通達。消毒も実施されたが、共同生活ではクラスター化は避けられなかったようだ。さらに、入院中の幕下以下の力士1人は、集中治療室(ICU)に入っているとの情報もある。

 日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は電話で取材に応じ、高田川親方について「入院しており全く連絡が取れていない。報告は部屋の関係者から協会に受けた」と説明。感染経路も「分からない」とした。また、白鷹山についても「(稽古状況は)よく分かっていない。(住居は)独身だし、部屋なんじゃないか」と話した。協会は感染者が出た部屋に対して、2週間の稽古と外出の禁止を通達。他の部屋にも接触を伴う稽古を自粛するよう、改めて要請した。

 あす27日に予定されている夏場所の番付発表は行うとしたが、協会員の感染者が7人と一気に増加する中、芝田山親方は夏場所の開催について「何も決定していないが、こういう状況なので専門家の意見を踏まえつつ慎重に検討したい」と姿勢を示した。3月の春場所は史上初の無観客。その後も細心の注意を払ってきたが、親方だけでなく、関取からも初めて感染が確認されるなど状況は悪化している。感染拡大の中、夏場所開催は難しい情勢となってきたことは間違いない。

 ◆高田川 勝巳(たかだがわ・かつみ=本名宮本勝巳)1967年(昭42)3月16日生まれ、広島県安芸津町(現東広島市)出身の53歳。現役時代のしこ名は安芸乃島。82年春場所で初土俵。金星16個は史上1位。03年(平15)夏場所で引退。役職は副理事、審判部副部長。

 ◆白鷹山 亨将(はくようざん・りょうすけ=本名斎藤亨将)1995年(平7)4月13日生まれ、山形県白鷹町出身の25歳。2011年技量審査場所で初土俵。18年夏場所で新十両。最高位は東十両3枚目。1メートル87、168キロ。得意は突き、押し。

 ▽高田川部屋 1974年(昭49)4月、元大関・前の山の高田川親方が高砂部屋から独立して創設。09年8月に元関脇・安芸乃島の現師匠が部屋を継承。継承後は竜電、輝、白鷹山が関取となった。春場所の番付では幕内2人、十両1人、幕下2人、三段目9人、序二段7人、序ノ口1人の22人が在籍。立行司・式守伊之助ら行司2人、床山1人、若者頭1人も所属している。所在地は東京都江東区清澄。

 《新型コロナと角界》
 ▼4月3日 夏場所、名古屋場所の2週間延期を決定。師匠会で出稽古禁止を通達。
 ▼8日 幕下以下の力士1人が高熱などの症状により都内の病院でウイルス感染の簡易的な検査を受ける。
 ▼10日 当該力士は精密検査の結果、陽性と判明。
 ▼11日 保健所が当該力士の所属する部屋に対し、22日まで待機するよう指示。
 ▼13日 2日以上、高熱などが続いた場合、報告することを義務付け。当面は接触を伴う申し合いやぶつかり稽古の自粛も要請。
 ▼22日 新型コロナウイルスに感染した幕下力士が所属する部屋の待機期間終了。
 ▼25日 高田川親方と弟子の十両・白鷹山、幕下以下の力士4人が新型コロナウイルスに感染したと発表。協会員の感染者は計7人に。

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