日馬へ引退勧告も 横審委員長が示唆「できるだけ厳しい処分」

[ 2017年11月28日 05:30 ]

厳しい処分は避けられない日馬富士
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 横綱・日馬富士(33=伊勢ケ浜部屋)が平幕・貴ノ岩(27=貴乃花部屋)に暴行をはたらいた問題で、横綱審議委員会が日馬富士に引退勧告する可能性が出てきた。27日に定例の会合が東京都墨田区の両国国技館で開かれ、日本相撲協会の危機管理委員会から日馬富士の暴行問題についての中間報告を受けた。その上で北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)らは厳しい処分になる見通しであることを明かした。

 横綱による暴行問題が発覚してから、初めての横綱審議委員会。早ければ5分程度で終わる会合が、1時間にも及んだ。通常なら会合が開かれた会議室で会見となるが、平時は20人にも満たない報道陣が120人以上に膨れ上がったことで急きょ、地下1階の大広間に場所を移した。物々しい雰囲気の中、北村委員長は日馬富士に厳しい処分が下されることを示唆した。

 「暴力があったということはほぼ間違いない。協会が暴力をなくそうという最中にあった。これは非常に厳しい処分が必要というのは委員会の中であった」

 横審は「横綱としての体面を汚す場合」など、全委員の3分の2以上の決議により「激励、注意、引退勧告」を行うことができる。北村委員長は、「危機管理委員会からの(最終)報告を受けてから審議する」と処分は先送りにしたが「どの処分という話にはなっていないが、できるだけ厳しい処分ということになるだろう」と“引退勧告やむなし”の雰囲気を漂わせた。

 危機管理委員会は既に日馬富士の聞き取り調査を終え、暴行現場となった鳥取市内のラウンジにいた横綱・鶴竜、関脇・照ノ富士からも話を聞いた。今後は同じく同席者である横綱・白鵬からも聴取する。だが、貴ノ岩の聴取は、師匠の貴乃花親方(元横綱)が貴ノ岩の体調を考慮して断っているため進展する気配はない。北村委員長は「いつまでも(調査が)できないのは、協会のガバナンスの問題になる。早く調査を完結していただき、それを受けて審議し、決議しようということ」と相撲協会の迅速な対応も求めた。

 大相撲は今年の6場所全90日間で、21年ぶりに大入りとなった。その中で起きた日馬富士による暴行問題。北村委員長は「大変なダメージ。相撲ファンの期待を裏切った」と嘆いた。10年2月には、知人男性への暴行問題を起こした横綱・朝青龍に対し、横綱審議委員会が「引退勧告書」を出し、朝青龍の自主的な引退へとつながった。鳥取県警の捜査と危機管理委員会の調査は今後も続いていくが、諮問機関の厳しい反応を考えると、日馬富士の引退はより現実味を帯びてきた。

 ▽横審の内規(抜粋)横綱が次の各項に該当する場合は、横綱審議委員会はその横綱の実態をよく調査して、全委員の3分の2以上の決議により、激励・注意・引退勧告等をなす。

 イ、休場の多い場合。ただし、休場が連続する時でも、そのケガ・病気によっては審議の上、再起の可能を認めて治療に専念させることがある。

 ロ、横綱としての体面を汚す場合。

 ハ、横綱として非常に不成績であり、その位に堪えないと認めた場合。

 ▼八角理事長 暴力は絶対駄目だと。うちとしても講習会でずっと、暴力は絶対駄目と言ってますので、そういう趣旨。

 ▼鏡山危機管理部長 (暴行問題の調査などは)これから。貴ノ岩に話を聞くことが先決?それが一番の近道。

 ▼岡本昭委員 (日馬富士について)何もなし。(具体的な)説明はなかった。何もないから僕らもがっかりした。

 ◆横綱審議委員会 1950年5月に設置。昇進問題など横綱に関する諸案件について日本相撲協会の諮問に答申する。委員の定員は15人以内で現在は9人。任期は2年で5期10年まで。今年1月から北村正任氏が委員長に就任した。横綱の「お目付け役」を務め、体面を汚したり、不成績が目立ったりする場合に、「激励、注意、引退勧告」などを出す。朝青龍が2010年初場所中に泥酔し暴行問題を起こした際には引退勧告書を相撲協会に提出した。

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