高安 大関獲りへ 一匹狼スタイルで勝負、付け人なしで単独出稽古

[ 2017年5月5日 05:30 ]

時津風部屋の朝稽古で鶴竜(左)と対戦する高安
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 14日初日の夏場所(東京・両国国技館)で大関獲りに挑む関脇・高安(27)が4日、初めて1人での出稽古を行った。田子ノ浦部屋の二所ノ関一門ではなく、東京都墨田区の時津風部屋を初めて訪れ、横綱・鶴竜(31=井筒部屋)らを相手に実戦感覚を磨いた。付け人が同行しない“一匹狼”のスタイルで、勝負の夏場所へ向けて充実の汗を流した。

 本来は稀勢の里との相撲で仕上げ、本場所を迎えるのが高安のスタイルだ。ところが、左上腕などを痛めた兄弟子が若い衆との稽古に限定しており、出稽古する道を選んだ。「そういう展開になってますから。部屋でできないから」。行き先は時津風部屋。部屋在籍の正代ら若い関取衆、ほかに同じく出稽古に来ていた横綱・鶴竜、大関・照ノ富士と申し分のない相手がずらり。この上ない実戦の場で激しい稽古を展開した。

 先場所は10連勝で迎えた鶴竜戦で敗れ、そこから3連敗して優勝争いから脱落した。横綱との対戦成績は5勝12敗。大関昇進の目安は直近3場所での33勝以上とされており、夏場所で10勝すれば到達できるが、「全勝優勝」と志は高い。悲願達成へこの日は9番取った。結果は2勝7敗だったが、激しい突っ張りなど厳しく攻めた。まわしを取る攻めも見せ「いろんなことが試せた。得たものがたくさんあった」と手応えを得ていた。

 その姿に興奮していたのが小柳改め豊山だ。夏場所で新入幕を果たす23歳は格上相手に攻撃の手を緩めない高安を見て「横綱の顔面ボコボコ張って、すげえなって思いました。土俵上がったら相手は関係ないんですね」と驚きを隠せなかった。常に手を抜かず仕上げる“稀勢流”を出稽古でも貫いて、若手の手本にもなった。

 大関獲りは今回が2度目となる。「心と体のバランスが崩れた」という昨年の九州場所は7勝8敗と負け越した。だが、今回は違う。付け人を同行させず、一門外の部屋で激しく稽古する“一匹狼”のスタイル。まわしを詰め込んだバッグを手に持ち1人引き揚げる男の背中からは、2度目の挑戦に懸ける決意が見て取れた。

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2017年5月5日のニュース