稀勢VS白鵬 異例の前哨戦 新横綱負け越しも「刺激になる」

[ 2017年3月9日 05:30 ]

稽古する白鵬(上)と稀勢の里
Photo By 共同

 大相撲春場所(12日初日、エディオンアリーナ大阪)を前に、横綱同士の稽古が実現した。5場所ぶりの優勝を狙う横綱・白鵬(31=宮城野部屋)が8日、大阪市港区の田子ノ浦部屋に出稽古し、関脇・高安(27=田子ノ浦部屋)と8番取ってから、新横綱・稀勢の里(30=田子ノ浦部屋)を促し6番取った。優勝争いのライバルの異例の前哨戦は先輩横綱が4勝2敗と貫禄を示した。

 土俵周りで稽古を見ていた新横綱の元に、最強横綱が近づいていった。白鵬が手ぶりを交えながら土俵に入るように促す。一瞬、間があったものの稀勢の里が応じた。

 この日は平日ながら200人以上のファン、関係者が田子ノ浦部屋に訪れ、固唾(かたず)をのんで白熱の稽古に注目した。最初の一番は低い体勢の稀勢の里が押し出し、次の一番は左差しの白鵬が寄り切った。3番目は左おっつけから稀勢の里が押し出し。4番目以降は立ち合いの呼吸が合わず3番続けて稀勢の里が突っかけた。仕切り直しはいずれも稀勢の里が立ち遅れ、スピードを生かして3連勝した白鵬が4勝2敗と勝ち越して終えた。

 白鵬が田子ノ浦部屋に足を運んだのは15年7月の名古屋場所前以来。今回は初場所で敗れた高安との稽古が目的で、6日に左目上を裂傷した稀勢の里と稽古するつもりはなかった。だが、新横綱が負傷を気にせず高安と9番取ったのを見て、声を掛けることを決めた。「良かった。いい稽古をしたと思う」と充実感を漂わせた。

 一方、稀勢の里も収穫を得た。「力を出し切ろうと思った。胸を借りるつもりで。今日はだいぶ良かったんじゃないか」。2勝4敗と負け越したが、それよりも白鵬のスピードを肌で感じられたことについて「体がしっかり覚えるから。刺激になる」とプラスに捉えた。

 5場所ぶり38度目の優勝を狙う白鵬と、15日制以降は3人しかいない新横綱場所での優勝を狙う稀勢の里。上位陣に休場がなければ、両者は13日目に対戦する。横綱同士での初対戦は、これまで以上に白熱した攻防が期待される。

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2017年3月9日のニュース