プレーとともにトークも覚醒 平野美宇「試合に勝つのが選手。嫌われたっていい」

[ 2017年2月4日 09:50 ]

ガッツポーズをする平野美宇
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 「男子3日会わざれば刮目して見よ」という言葉がある。日々、鍛錬する人は3日も経つと見違えるほど成長するので、目をこするくらいしっかり見なさいというほどの意だ。もちろん、これは女子にも当てはまる。卓球の平野美宇とは3日どころか、2年も会っていなかった。

 15年始め、20年東京五輪開幕まであと2000日に合わせ、平野がダブルスを組んでいた伊藤美誠との「みうみま対談」がスポニチ本紙で実現した。当時の担当記者とともに、ボクも現場へ。取材はおおいに盛り上がったが、トークの主導権は伊藤にあったように思う。伊藤が速射砲のように言葉をつなぎ、それを受けて平野が同調する。終始、そういう展開だった。

 あれから2年。全日本選手権を取材した。開幕時の会見でも試合後も、平野は「優勝」というフレーズを意識的に口にした。久々に平野を見たボクの感想はこうだ。「あれ、こんなに強気だったっけ?」。シングルス決勝では4連覇を狙った石川を撃破し、史上最年少となる16歳9カ月でタイトルを獲得した。

 強い言葉で自らを鼓舞した理由を、平野はこう説明した。「好感度をアップするために頑張っていたんですけど、試合に勝つのがスポーツ選手。嫌われたっていい。好感度なんか気にしてもダメ」。控えめで猫をかぶっていた16歳は、コートで虎になった。そして、好感度は逆に上がった。

 ともに戦い、一番近くで平野を見てきた伊藤は言う。「(平野は)全日本の時に覚醒していた。“強い”っていう印象しかない」。平野は、プレーとともにトークだって覚醒。刮目だけでなく、傾聴も必要だ。(記者コラム・杉本 亮輔)

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2017年2月4日のニュース