大江18番“ナイス”ボギーの薄氷V 今季3戦目お待たせ日本人

[ 2016年3月21日 05:30 ]

4季ぶりの通算2勝目を挙げ、フラワーシャワーで祝福される大江香織

女子ゴルフツアー Tポイント・レディース最終日

(3月20日 鹿児島県姶良市 鹿児島高牧カントリークラブ=6423ヤード、パー72)
 首位に1打差の2位から出たプロ8年目の大江香織(25=アルパイン)が3バーディー、2ボギーの71で回り、通算7アンダーの209で12年4月のフジサンケイ・レディース以来、3年11カ月ぶりのツアー2勝目を挙げた。2打差の首位で迎えた最終18番、第2打を池に落としながらボギーで切り抜けた。今季3戦目で日本勢の優勝は初めて。1打差の2位に渡辺彩香(22=大東建託)、柏原明日架(20=富士通)イ・ボミ(27=韓国)が並んだ。 【関係記事20面】

 ゴルフの神様のいたずらだったのか。後続に2打差をつけた大江の最終18番。クリークと池のあるパー4で「ティーグラウンドに立つと左のクリークが気になって凄く狭く感じた」。体の開きが早くなり第1打は大きく右に曲がって斜面を転がり落ち、崖下の木の根元で止まった。「強く打ってフェアウエーに出そう」という7Iの第2打が、今度はフェアウエーを横切り左の池に。1罰打を加えた第4打は重圧がかかったが「ピンまで72ヤードを56度のウエッジで打った」。フルショットした球はバックスピンがかかりピン右1メートルに。最後は「震えながら打った」というボギーパットを沈め、ツアー2勝目の喜びをかみしめた。

 「実は2勝目はできないかなと思っていた」。初勝利から3年11カ月の空白が続いた。若手の相次ぐ台頭に「距離が延びて飛ばない選手にはチャンスが少なくなるばかり」と1メートル53、50キロの小柄な体格をハンデに感じていた。それでも「やれることだけはやっておこう」と昨オフは東京・台場のスポーツジムで筋力トレを敢行。「3日目には発熱ダウンするぐらいきついメニューをこなした」。1月には米フロリダに渡り1カ月間、芝生の上からのショットでアイアンの精度を磨いた。勝負を決めた18番のウエッジはまさにその成果だった。

 4年前の初勝利のときは長尺パターだったが、グリップなどを体につけ支点にしてストロークする「アンカリング」が禁止された現在は35インチの中尺パターを体から離してプレーする。グリップの上を右手、下を左手で離して握る変則パットだが「今はもう違和感はない」という。開幕戦から外国人選手が2連勝しており、さまざまな苦難を乗り越えた大江が今季日本人優勝の第1号となった。

 ◆大江 香織(おおえ・かおり)1990年(平2)4月5日、山形県生まれの25歳。7歳でゴルフを始める。宮城・東北高2年だった07年に東北ジュニア、東北女子アマで優勝し、日本女子アマで16強入り。08年東北女子アマ連覇。09年のプロテストに一発合格。11年に賞金ランキング43位で初シードを獲得。オフに石川遼と沖縄で合宿を行って臨んだ12年、フジサンケイ・レディースで初優勝。1メートル53、50キロ。目標のプロは5歳上で高校の先輩、宮里藍。

 ≪外国勢開幕2連勝が最高≫88年のツアー制度施行後、開幕戦からの外国人選手の連勝は2連勝が最高。Tポイント・レディースがツアー第3戦となった10年以降は同年に初戦をアン・ソンジュが制し、2戦目をウェイ・ユンジェが勝ったが、3戦目で北田瑠衣が優勝。15年も初戦でテレサ・ルーが勝ち、2戦目で李知姫が優勝したが、3戦目で飯島茜が連勝を阻止している。

続きを表示

2016年3月21日のニュース