脳腫瘍のバスケ選手 特例措置で初の公式戦出場「夢がかなった」

[ 2014年11月3日 14:05 ]

脳腫瘍ながら、特例措置で初の公式戦に出場し4得点をマークしたローレン・ヒル(AP)

 脳腫瘍で「12月の先に命はない」と診断された全米大学バスケットボールの女子選手が初の公式戦に出場。麻痺した体を懸命に動かして4得点をマークし、全米を涙させた。

 この選手は全米3部に所属するマウント・セントジョセフ大(オハイオ州)の1年生フォワード、ローレン・ヒル(19)で2日に行われたハイラム・カレッジ戦に先発。前半の開始17秒、ゴール下で左手でシュートを決めて男女を通しての今季の“全米初得点”を記録。後半の残り26秒から再びコートに登場すると、今度は麻痺が強くなっている利き手でもある右手でシュートを成功させた。

 ヒルは頭部の手術不可能な個所に腫瘍があり、ここに来て症状が悪化。歩行はおぼつかなくなり吐き気や頭痛も激しくなっていた。当初の開幕日は2週間先だったが「一度だけでも娘をコートに立たせてほしい」という両親の願いを大学が受け止めて全米大学体育協会(NCAA)に働きかけ、特例措置として日程の変更を承認。試合会場も2000人ほどしか入らない母校の体育館ではなく、40キロほど離れた男子強豪校、ゼイビアー大の1万250人収容のアリーナになった。チケットは開始30分で完売し、試合はFOXが生中継。ヒルは「なにもかもが驚き。本当に幸せです。夢がかなったわ。だからバスケが好きなんです」と感無量の面持ちだった。

 試合は66―55でマウント・セントジョセフ大が勝って白星発進。すでに小児がんの基金には多額の寄付が集まっており、背番号22のユニフォームを着た無名の選手は、1日にして多くの人々の心を揺り動かした。

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