「ゆづの恩返し」報奨金600万円は被災地へ寄付

[ 2014年2月26日 05:30 ]

報道陣の質問に答える羽生結弦(左)。中央は橋本聖子団長。右は平野歩夢

 ソチ五輪日本選手団の橋本聖子団長(49)ら役員3人と選手7人の計10人が25日、東京都内のホテルで帰国会見に臨んだ。フィギュアスケート男子金メダルの羽生結弦(ゆづる、19=ANA)は、日本オリンピック委員会(JOC)などから給付される報奨金の使い道を尋ねられると、11年3月に発生した東日本大震災の被災地支援などに充てると即答。仙台市出身の金メダリストが「ゆづの恩返し」で地元への感謝の思いを伝える。

 美しい演技で日本中を元気にした羽生が恩返しを約束した。席上、報奨金の使い道についての質問が飛ぶと、真っすぐ見据えて「震災への寄付だったりスケートリンクへの寄付だったり、そういうところに使おうかなと、今の段階では考えています」と答えた。よどみなく発する言葉に、被災地への思いがあふれた。

 地震があった11年3月11日は、仙台市内のアイスリンク仙台で練習中だった。市内の自宅は全壊し、4日間の避難所生活も強いられた。12年5月に拠点をカナダのトロントに移した際は後ろめたさを感じたほどだ。金メダルの羽生に給付される報奨金は、JOC300万円と日本スケート連盟300万円の計600万円。いまだ復興が進まない東北に、恩返しの気持ちを込めるつもりだ。

 「ゆづの恩返し」はこれだけにとどまらない。会見前に訪れた文部科学省では、下村博文文科相らと歓談中、「僕は被災地の仙台から出た人間なんですけど」と切り出すと、こう“陳情”した。「東北には6県で通年のリンクが1つしかない。24時間ほとんど埋まっている状態で、なかなか練習時間が取れない。そういう環境で世界選手権3位まで頑張ったが、(継続は)厳しいということでカナダに出る決断をした。これをきっかけにではないが、東北のスケーターの方々にご支援を…」。後進の育成や裾野を広げることは、愛するフィギュアスケートへの恩返しでもある。それにはまず、ハード面の充実が前提。被災地やフィギュア界のためには、金メダリストの肩書を存分に利用していくつもりだ。

 今後は3月26日に開幕する世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)に向けて再スタートを切る。2時間遅れのフライト、分刻みの忙しいスケジュールにも「早く練習して世界選手権へ向けて頑張りたい」と答えた。「とにかく日々精進して、五輪王者としてふさわしい人間になれたらいい」。既に誰からも尊敬のまなざしで見られるようになった19歳は、最後まで謙虚にそう話した。

 ▽五輪メダリストの報奨金 JOCが報奨金を設定したのは、92年のアルベールビル冬季五輪が始まり。現在は金メダルで300万円、銀で200万円、銅で100万円の金額設定。チーム種目では選手それぞれに該当額が支払われる。これに加え、各競技団体が別個に報奨金を用意しており、ソチ五輪で日本スケート連盟はJOCと同額の設定をしていた。競技団体によっては独自の金額を定めており、例えば日本陸連は12年ロンドン五輪で金メダル1000万円、銀600万円、銅400万円という破格の設定で話題に。一方で全日本柔道連盟は報奨金を給付していない。

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