細川 涙のシード再奪取 神懸かり6連続バーディー

[ 2012年11月26日 06:00 ]

賞金ランク69位に入り、来季シード権を獲得した細川和彦

男子ゴルフツアー カシオ・ワールドオープン最終日

(11月25日 高知県芸西村 Kochi黒潮カントリークラブ=7300ヤード、パー72)
 ツアー20年目のベテラン、細川和彦(41=茨城GC)が涙のシード再奪取となった。賞金ランク71位がボーダーラインとなった賞金シード争い。6連続バーディーを含む今季自己ベストの65をマークし、通算7アンダーの35位。賞金ランクは69位をキープし、2年ぶりのシード復帰を決めた。黄重坤(20=韓国)が通算19アンダーで今季初優勝。石川遼(21=パナソニック)は通算12アンダーで6位に終わった。
【最終R成績】

 プレーを終えた細川は、なかなかスコア提出所から出られなかった。足元に引かれたラインを一度でも踏み越えたらスコアの訂正はできない。無我夢中でつかみ取った2年ぶりのシード権。万が一にも失格などで失いたくはない。「出て大丈夫?」「出るの怖いよ」。意を決して外に踏み出すと涙腺も決壊。「信じられない。優勝の次にうれしい」と声を震わせた。

 賞金ランク69位で迎えた今大会は3日目まで62位。シードを争う浅地、河野らは最終日もスコアを伸ばしていた。「それを見るだけで苦しかった」。60位前後で終わればシードが得られない状況だったが、41歳のベテランは追い詰められて極限の集中力を発揮した。前半の13番から18番、神懸かったようなバーディーラッシュ。打てばフェアウエー、グリーンを狙えばバーディーチャンス、そしてパットが決まる。「こんな大事な時に、最後の日に…。去年シード落ちして、悔しくて練習してたのを神様が見ていてくれたかな」とプロ20年目で初の6連続バーディーを記録した。

 昨年、自宅と15分の距離にある茨城GCと所属契約を結んだ。「せっかく契約してもらったのにシード落ちして迷惑を掛けた」。それでも腰を据えて練習に取り組む環境を与えてもらい、復活への足掛かりをつかんだ。今大会中も尾崎直道から「ゴルフ場と契約できてよかったな」と声を掛けられたと言い「ゴルフ場のおかげ」と感謝した。

 01年には難病指定の潰瘍性大腸炎を患った。今季もきりきりと胃の痛む日々が続き「また病気になるんじゃないか」と不安に駆られるほどだったという。膝や腰にも“勤続疲労”が出ている。だが、不安も痛みも乗り越えた。「来年はこうならないように頑張りたい」。細川はまた訪れる新たなシーズンを心待ちにした。

 ◆細川 和彦(ほそかわ・かずひこ)1970年(昭45)12月28日、茨城県生まれの41歳。日体大卒業後の93年にプロ転向し、翌年、ツアーデビュー。95年に初優勝すると4勝目までは全て8月で“夏男”の異名を取った。ツアー通算8勝。01年に潰瘍性大腸炎を患って以降、調子を落とし、昨年、シードを失った。1メートル76、78キロ。

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