盤石過ぎて怖い?稀勢の里万全の寄りで3連勝

[ 2012年7月11日 06:00 ]

稀勢の里(右)が寄り切りで旭天鵬を下す

大相撲名古屋場所3日目

(7月10日 愛知県体育館)
 今場所初めて東の正大関に就いた大関・稀勢の里が旭天鵬を難なく寄り切り、初日から3連勝。稽古場に姿見を設置するなど自分自身と向き合う努力をしてきた26歳が、初優勝に向けて安定感抜群の相撲を見せている。横綱・白鵬も先場所初日に敗れた安美錦にてこずりながらはたき込み、無敗をキープ。全勝は白鵬と3大関に加え、千代大龍ら平幕6人となった。
【取組結果】

 盤石過ぎて怖いぐらいだ。横綱の地位に“もっとも近い”東の正大関・稀勢の里が先場所優勝の旭天鵬を寄せ付けなかった。深く左を差すと相手の腹に頭をつけながら右前みつを握り、腰を割っての万全の寄りで3連勝。支度部屋では感情を抑制するため口数が少ない。それでも「いい感じに動いているんじゃないですか。体がね」と相撲内容に対する手応えだけは自信たっぷりに話した。

 強さの秘けつとして、自らの体を入念に見つめる作業がある。今年から愛知県長久手市の鳴戸部屋の土俵脇に自分専用の巨大姿見を設置。1メートル89、175キロの巨体が全て映るものを自ら用意し、筋肉の付き具合などバランスを常にチェック。四股、そんきょ、深呼吸をする姿…。時間が許す限り、鏡に向かって自問自答している。

 孤独に追い込み、自分を知ろうとしている。6月に十両以上の力士が国技館に集って、午後9時までテレビ収録が行われた。大関としての役目を果たすため、タレントと腕相撲をするなど全力を尽くした一方で、誰とも会話をせず、収録後には真っ先に帰宅した。強くなるには孤独に勝つしかないというのは昨年急逝した先代師匠(元横綱・隆の里)の教えでもあった。

 これまで意識しなかった「初優勝」を今場所はあえて言葉にする。先場所賜杯をさらわれた旭天鵬が相手だったことを意識したかどうかについては「多少は」とほくそ笑んだ。北の湖理事長(元横綱)も「問題ない」と太鼓判を押す26歳。しゃく熱の名古屋場所の主役は誰にも譲る気はない。

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2012年7月11日のニュース