次期大関がむしゃら!鶴竜 突っ張って3連勝

[ 2012年1月11日 06:00 ]

<大相撲初場所3日目>豊ノ島(右)を攻める鶴竜

大相撲初場所3日目

(1月10日 両国国技館)
 次期大関候補の呼び声が高い鶴竜が豊ノ島との関脇対決を制して3連勝。昨年秋場所での失敗を糧に心身両面での立て直しに成功、もろ差しを身上とする技巧派が力強い突っ張りを見せるなど地力強化をアピールした。白鵬は安美錦を押し出し3連勝。5大関を含む上位陣は2日目に続いて安泰となった。

 普段はおちゃめな笑顔を見せる大関候補も、土俵上ではひと際険しい表情で獲物に襲いかかる。鶴竜は豊ノ島に立ち合いで押し込まれると、目を引きつらせ反撃。差しても相撲は取れるが、この日は突っ張りにこだわった。相手が消極的に引いたところを逃さず、がむしゃらに前に出た。大関を争う同じ時津風一門のライバルを一蹴しての3連勝。「少し受けて立ち合いはよくなかった。でも、どういう形でも、とにかく前に出ようと意識している」と満足そうに振り返った。

 昨年5月の技量審査場所に12勝、名古屋でも10勝を加算し、一時は琴奨菊、稀勢の里をしのぐ大関の有力候補と目された。しかし、苦手な暑さを克服できず、夏場に体重を145キロから140キロまで落とすなど調整に失敗。秋場所は11勝で昇進目安の33勝に届いたが、9勝に終わった。

 その反省を生かし、日常生活の改善に心掛けた。涼しくなると食欲も戻り、ベスト体重の145キロをキープ。年末年始はお笑い番組などでリラックスを心がけた。新聞を読めるぐらい日本語は堪能。「ガキの使いやあらへんで」「すべらない話」など大好きなダウンタウンの映像で笑い転げ、重圧を忘れた。

 心身両面で立て直しに成功し、危なげない内容で3連勝。大関昇進の判断を担う審判部から評価の声が上がっている。この日、土俵下で見守った中村審判長(元関脇・富士桜)は「充実しているね。豊ノ島も強いけど相撲にならなかった。(大関に)だんだん近づいてきたんじゃないか」と太鼓判。本人は「今年の目標は悔いを残さないようにすること」と冷静だが、一昨年秋場所から8場所連続で三役を維持している底力が一気に開花しそうな予感すら漂っている。

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