“新・山の神”出遅れも…東洋大 逆転初V!

[ 2011年10月11日 06:00 ]

出雲全日本大学選抜駅伝で初優勝を果たし、喜ぶ東洋大の選手ら

出雲全日本大学選抜駅伝

(10月10日 島根・出雲大社前~出雲ドーム前 6区間44・5キロ)
 3大大学駅伝の開幕戦で、東洋大が2時間10分43秒で初優勝を飾った。1区の“新・山の神”柏原竜二主将(4年)が6位と出遅れたものの、3、4、5区で区間賞を奪う総合力で、ライバルを振り切った。酒井俊幸監督(35)は全日本、箱根と合わせて3冠制覇を宣言した。史上初の2季連続3冠を狙った早大は3位に終わった。

 出雲路では初めて東洋大が先頭で帰ってきた。設楽啓は、右手人さし指を突き立ててゴールテープを切った。待ち構えた酒井監督は「まずは出雲を獲りにいくと目標設定したのでよかった」と安どの笑み。昨季屈辱の無冠に終わった東洋大の逆襲が始まった瞬間だ。

 1区に柏原を投入し先行逃げ切りを狙ったが、6位と想定外の出だしとなった。しかし2区の川上が順位を3つ上げると3、4、5区は区間賞の快走。4区で首位に立った田中は「3人がつないでくれたたすきを1秒でも早く次にと思って走った。いつも柏原に頼っていたので借りを返さないと」と振り返った。箱根では山上りの柏原が逆転するのが勝ちパターンだが、出雲路では総合力で初優勝をつかんだ。「自分の走りは全然駄目」と反省した柏原も「今年の東洋は違うと見せたかった」と胸を張った。

 昨季は早大に3冠全てを奪われた。箱根も往路は制したが、総合では21秒差で涙をのみ3連覇を逃した。その悔しさが今夏の走り込みのモチベーションになった。「夏場に多い選手は1200キロ走り込んだ」(柏原)。その結果チーム全体がレベルアップし出雲のタイトルにつながった。

 柏原にとって特別なシーズンだ。8月、東日本大震災で被災した故郷福島県いわき市に1週間ほど帰省した。実家に大きな被害はなかったが、近くには地盤沈下を起こした地域もあり見慣れた風景が変わり果てていた。心を痛めた柏原を奮い立たせたのが近所の知人から受け取った激励の手紙だ。「被災者の方が大変なのに“頑張って”と励まされて。苦しくても手紙のことが頭をよぎると走れる」。走りで恩返しすることを誓っている。

 酒井監督は「全日本と箱根も獲れるように」と宣言し、柏原も「3冠を獲ると宣言したので、ここは通過点」とキッパリ。“新・山の神”が残る2つのタイトルを見据えた。

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2011年10月11日のニュース