イメルマンが初V!初日から首位死守

[ 2008年4月15日 06:00 ]

前年優勝のザック・ジョンソン(左)から、グリーンジャケットを着せてもらう初優勝のトレバー・イメルマン

 男子ゴルフの今季メジャー第1戦、マスターズ・トーナメントは13日、米ジョージア州のオーガスタ・ナショナルGC(7445ヤード、パー72)で最終ラウンドを行い、トレバー・イメルマン(28=南アフリカ)が75とスコアを落としたものの、通算8アンダーでメジャー初優勝した。歴代優勝者の最終日ワーストタイのスコアながら、3日目までの貯金で初日からの首位を守りきった。南アフリカ勢の優勝は3度優勝のゲーリー・プレーヤー(72)以来、30年ぶり2人目。タイガー・ウッズ(32=米国)は72とスコアを伸ばせず、通算5アンダーで3打差の2位に終わった。

 柔らかな夕暮れの日差しの中で行われた優勝セレモニー。笑顔と拍手に包まれて、イメルマンはグリーンジャケットに袖を通した。「マスターズで勝つことを小さなころから夢見てきた。今こうしていることがとても信じられない」。夢のような気分に浸った。
 4カ月前を思えば信じられるはずもなかった。昨年12月、南アフリカでの試合で優勝した直後に胸の痛みを訴えた。検査の結果、横隔膜に良性の腫瘍(しゅよう)が見つかった。背中を切開して腫瘍を摘出。2カ月弱で復帰して少しずつ調子を取り戻してきていたが、前週の米ツアー、シェル・ヒューストン・オープンは74位で予選落ちしていた。
 「そしたら今度はマスターズ優勝だよ」とおどけた。初日から3日目まで60台をマークし、最終日を首位で迎えた。4日連続60台なら大会史上初の快挙だったが、最終日は75。優勝者の最終ラウンドとしては、62年のパーマーに並ぶワーストスコアでマスターズの栄冠を勝ち取り「まるでジェットコースターみたいだね」と笑った。
 同じ南アフリカの英雄、ゲーリー・プレーヤーの言葉が支えになった。出だしの1番でボギーを叩き、16番パー3ではティーショットを池に落としてダブルボギー。強風の中、不安定な戦いが続いたが、前夜に留守番電話に入っていたメッセージを思い出した。「パットの時には頭を動かさないように。苦しい時には自分を信じろ。君なら勝てる」。過去3度、マスターズを制した母国の英雄が、30年ぶりの南アフリカ勢の快挙を後押ししてくれた。
 4日間を通じてフェアウエーキープ率は1位、パーオン率も2位という正確なゴルフでオーガスタを制し、ウッズの年間グランドスラムの夢も打ち砕いた。「ウッズの全盛期にメジャーを勝つことはとてつもなく価値がある」。誇らしげに語るイメルマンの周りだけはオーガスタの風が優しく吹き抜けていった。

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2008年4月15日のニュース