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南アW杯宿泊手配の日本人業者が消えた

[ 2010年5月4日 06:00 ]

 6月に開幕するサッカーW杯南アフリカ大会の観戦希望者に現地での宿泊場所を手配していた日本人業者が、申込代金を預かったまま連絡が取れなくなっている。この業者は旅行業登録をしておらず旅行業法違反の可能性もある。代金を払った客たちは3日、警察への相談を含め対応を協議した。

 連絡が取れなくなっている業者は「ToerAfrika」(ツールアフリカ)。同社は南アを所在地としているが、4月上旬から、連絡先の国内外の電話はつながらない状態となっている。
 同社ホームページ(HP)によると、同社は「日本応援キャンプ」をうたい、日本代表の試合があるダーバン近郊の大学寮を借りて宿泊施設とし、宿泊施設から空港、スタジアムまで送迎すると説明。昨年6月ごろから申し込みを受け付け、周辺の観光ツアーなども企画していた。
 南アは、1日平均50件の殺人事件が発生し「治安が紛争地を除けば世界最悪」とされる。警備員を配置しているホテルは限られており、W杯観戦希望者にとって、宿泊場所の確保は重要な問題になっている。日本の大手旅行社には、試合のチケットを購入している人からの宿泊先についての問い合わせが相次いでおり、移動手段と宿泊先だけを提供するサービスを開始したところもある。
 在南ア日本大使館によると、「ツアー代金を振り込んだが、業者からチケットが届かない」などの日本からの相談を受けた大使館職員が3月、責任者を名乗る男性と連絡を取った際には「宿泊先との交渉を詰めきれていない」と話したという。
 同社は日本の観光庁などに旅行業の登録をしておらず、旅行業法違反の可能性がある。
 代金を払った約20人は3日、警察への相談など今後の対応を話し合った。話し合いに参加した女性(48)は「30万円を払い込んだ。サッカー好きの気持ちを踏みにじられた」と唇をかんだ。
 <ドイツ大会では大量盗難も>W杯観戦をめぐって過去にもトラブルが起きている。06年ドイツ大会ではチケット約800枚が落とし物として届けられたが、フランクフルト市警察の調べで空港で盗まれた物と判明。同じく06年ドイツ大会で、日本国内の旅行代理店が大会1カ月前に、禁止されている転売で集めた入場券を使いツアーを組み問題になったこともあった。

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2010年5月4日のニュース