依然として厳しい引退馬を取り巻く環境 セカンドキャリア支援に協力を

[ 2026年5月21日 05:30 ]

「サラブレッドホースショー ザ・セカンドキャリア」初日の馬場馬術に出場したブラストワンピース
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 日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は栗東取材班の田井秀一(33)が担当。先月末に第1回が開催された、引退競走馬支援のイベント「サラブレッドホースショー ザ・セカンドキャリア」を取り上げる。

 4月29、30日に大津市のラクエドラゴンホースパークで開催されたイベントには2日間で約3000人が詰めかけた。馬術の競技会にはブラストワンピース、シュヴァルグランといったスターホースが登場し、JRA騎手や調教師も出場。トークショーでは初日に福永師&川田、2日目は武豊&福原直英アナウンサーが「ウマ娘」声優と会場を盛り上げた。多くのスポンサーが協賛し、徒歩60分の最寄り駅からシャトルバスが随時運行するなど大がかり。盛況、大成功のうちに幕を閉じた。

 近年、現役のJRA関係者がこういった引退馬支援の催しに参加することは珍しくなくなった。日本調教師会の前会長である中竹師は、多忙な調教師業務の間を縫って馬術練習に励み、競技会に出場。「世界的にも馬の福祉を重んじる意識が深まり、IFAR(引退競走馬のアフターケアに関する国際フォーラム)の活動も行われています。その中で、我々競馬関係者も積極的に協力していくべきだと思いますし、当事者として向き合わなければならない」と思いを明かす。

 騎手会長の武豊も“当事者意識”を共有する。「競馬に従事する者として、引退後の馬たちのことをしっかり考えなきゃいけないと思っています。馬は乗るだけではなくて、ホースセラピーという形で、馬から人も癒やしてもらったり、学ぶこともできます。人と馬がいい関係で共存していければ」。騎手時代から継続的に活動を行う福永師も「馬の一生に責任を持って、競走馬としての現役中だけじゃなくて、その後のセカンドキャリア、サードキャリアにも責任を持ってやっていくべきだと思います」と異口同音に語る。

 とはいえ、引退馬を取り巻く環境は依然として厳しい。金銭面、人手ともにリソース不足で、G1勝ち馬でさえ、寄付やボランティアに頼らなければならない現状がある。福永師も「引退した馬が乗馬やセラピーホースになって活躍できる場をどんどんつくっていきたい思いはありますが、見に来てくださる方がいないと、そういう場も増えていかない。馬の魅力に触れていただいて、またお友達を誘い合わせていただき、お力を貸していただけたらなと思います」と協力を呼びかける。

 今回のようなイベントに参加するだけでも支援の一環になると思うし、引退馬に関する団体は多数あって、養老牧場のクラウドファンディングもある。「毎年、引退する馬が何千頭もいるのだから切りがない」なんて声もあるが、目の前の一つの命と向き合うことに意味がないわけがない。小さな一歩の積み重ねから。馬に人生を豊かにしてもらっている一人として、競馬ファンの皆さまの協力を心からお願いしたい。

 ◇田井 秀一(たい・しゅういち)1993年(平5)1月2日生まれ、大阪府出身の32歳。阪大卒。道営で調教厩務員を務めた経験を持つ。19年春から競馬担当。引退馬協会会員。

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