【小倉競輪 競輪祭ミックスゾーンリポート】しびれた郡司浩平の一言「あとは自分で獲ってくれ」
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現在、競輪の取材はコロナシフトのままで制限が多い。そんな中でもレースだけではない、競輪の人間臭さや、選手の何気ない一面を少しでも伝えたい。そんな思いから本紙記者がミックスゾーンで見た、聞いた、感じた話を「ミックスゾーンリポート」と銘打って自由気ままに書かせてもらう(不定期配信)。第7回は小倉競輪場で行われ、阿部拓真(35=宮城・107期)が優勝した「第67回競輪祭」。
「よし、早く寝よう!もう、寝よう!」。3日目1Rが出番と分かると和田真久留(34=神奈川・99期)は松井宏佑(33=神奈川・113期)に呼びかけた。結果は見事なワンツー。レース後、松井に“早く寝たおかげですか?”と聞くと、「いや、結構夜ふかししてしまって…。神奈川勢は話が盛り上がっちゃうので」とニッコリ。いいムードが結果につながったのだろう。
とにかくドラマがあった。まさに“一発ツモ”。それもダブル役満、いやそれ以上かもしれない役をあがった阿部拓真。今回は選択がさえていた。二次予選は「深谷さんか志田君のラインかで直前まで迷った」。
準決も「太田君か郡司君のラインで迷った」。どちらも単騎で先行したラインに続いて2着。決勝も自分でやるか、松井に付けるか、吉田に付けるか。渡部幸訓(42=福島・89期)との話し合いは和やかなムードだったが、なかなか結論が出ず。最終的に出した結論は同期の吉田。これが見事に当たった。お見事、アッパレ。
間違いなく大会MVPは松本貴治(31=愛媛・111期)だった。初GPが懸かる中、勝ち上がりから積極策を連発。犬伏を目標にした準決以外は先頭で戦った4走、全て最終HBを取った。決勝は自身が2着以上で赤パンを履けたが、迷いのない打鐘ガマシ。「押し切れたら良かったが、駄目でも荒井さんが獲ってくれたらラインとして最高の形だった。力がなくてGPに出てSSになっても意味がないと思っている」とレース後はサラリ。場内の声援は一番だったのが言うまでもない。
その松本の番手から惜しくもタイトルに届かなかった荒井崇博(47=長崎・82期)。レース後、「あーーくそっ。なんやマジで」と叫んだ。出迎えた九州勢は何も声を掛けられず見守るしかなかった。「もう1回4コーナーからやり直したい。悔しい本当に。ムカツク。これ以上ないでしょう」。取材を拒否することもある御大だが、とてつもなく悔しい中で報道陣に率直なやり切れない思いを教えてくれた。
S班から陥落が決まった岩本俊介(41=千葉・94期)。「こんなS班いなかったでしょう。通常営業に戻らせてもらいます」と悔しさもある中で、いつもの柔和な笑顔。静岡GPに1日フライングして競輪場に入りし「帰ってくださいといわれて、本当に帰るんですかと」。思えばそんなトラブルからS班生活が始まった。最終日はド迫力のカマシで3着。カカリにカカっており、“自力が似合いますね”と言われると、「これが通常営業ですね。すんなり戻れそうです」。S班で目標付きが多かったが、26年は本領の自力戦で魅せてくれるだろう。
新山響平(32=青森・107期)も残念ながらベスト9入りならず。先行日本一に魅了されたファンは多く、二次予選で1着を獲ると大大大歓声だった。「とりあえず黒いパンツを買います。全部捨ててしまったので。いわき平GPに乗れるように頑張ります」。初めて北日本地区で行われる大舞台に、この男がいないわけにはいかない。来年も果敢に風を切る。
深谷知広(35=静岡・96期)は2走目に落車して満身創痍の中、GP出場へひた走った。とてつもない精神力だ。4日目に1着を獲るも、レース後は痛む体を押さえながら息が整わなかった。唯一の同県・簗田一輝(29=静岡・107期)がレース直前のため出迎えはなし。すると小原太樹(37=神奈川・95期)がすかさずキツそうにしている深谷の元に行き、ユニフォームを脱がせてあげていた。また、大きなリュックを見ると、関東勢を迎えていた芦沢辰弘(37=茨城・95期)が「持つよ」と声を掛けた。レースさえ終われば選手は助け合ってもいる。
相変わらずカッコ良かったのは郡司浩平(35=神奈川・99期)。準決は太田海也を叩いて迷いのない先行。松井宏佑の決勝入りに貢献した。レース直後、松井がお礼を言いに来ると、「あとは自分で獲ってくれ」と託していた。来年は郡司―松井、松井―郡司という選択が神奈川勢の命運を分けそうだ。
最後にGPに向けた話を。吉田拓矢(30=茨城・107期)に“これでGPで阿部さんは栃茨勢の後ろを固めてくれるんじゃないですか”と問うと、「どうですかね。郡司さんにいった方がいいんじゃないですかね。2分戦になってしまうし、その方が競輪になると思う」と話した。もちろん判断するのは阿部。果たしてどうなるか…。並びが判明する12月19日の前夜祭、そして30日当日が今から楽しみでならない。
開催一の衝撃
最終日12R決勝(阿部拓真が3連単最低504番人気の下克上V)
個人的MVP
松本貴治(31=愛媛)
今後注目選手
タイトルホルダーとなった阿部拓真(35=宮城)
(東京本社競輪担当・渡辺 雄人)
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