【七夕賞】グランオフィシエ 戸崎と見せます一等星の輝き

[ 2023年7月5日 05:30 ]

推しの馬

グランオフィシエが混戦の主役だ
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 “七夕男”も仰天の一等星が福島の空に輝く。サマー2000シリーズ第1弾「第59回七夕賞」が9日、福島競馬場でゲートイン。“荒れるハンデ重賞”の波乱の主役は戸崎圭太(42)とコンビを組むグランオフィシエだ。週末の重賞出走馬にスポットを当てる「推しの馬」でハンデ57キロを課された同馬の推しポイントを探ってみると――。

 競走馬には前触れもなく輝きを放つ瞬間がある。星になぞらえれば、3つの一等星を結んだ夏の大三角形。七夕の夜空に輝く織り姫のベガ、ひこ星のアルタイル、天の川に翼の橋をかけて織り姫をひこ星のもとへ渡す白鳥座のデネブのように。自身の誕生日(7月8日)が近づくと星の巡り合わせも良くなるのだろう。現役最多タイの七夕賞3勝を挙げている戸崎がグランオフィシエから感じ取ったのも突然の輝きだった。

 「走りが突然変わったというか、劇的に変化したというか。馬が大きく変わるタイミングはさまざまですが、グランオフィシエにとっては2度目のコンビとなった今年初戦(迎春S1着)がそうでした」。戸崎と初コンビを組んだ昨年11月のウェルカムSは5着。「あの時は背中を使えず手先だけで走っていたのに、それからわずか1カ月半で背中を使ってバネのように弾んだ。返し馬でその違いをはっきりと感じました」。わずか鼻差の勝利とはいえ、七夕の一等星のような輝きを放ったのだった。

 前走・メトロポリタンSの東京2400メートル戦から福島の2000メートル戦へ。小回りコースへの舞台替わりで求められるのは機敏な反応だ。久保田師は馬場馬術でも用いられる操縦性重視の調教をグランオフィシエに課してきた。「軽いプッシュ、少しの動きで機敏に反応するように仕向けていく。角馬場などで舌鼓(ぜっこ)と足を使って、出しては控える、出しては控えるを繰り返す。舞台が福島なので動きたい時に動けるようにする調教です」。明大在学時代、日本学生馬術選手権3連覇を達成したトレーナーらしい手法である。

 福島コースは21年ラジオNIKKEI賞(14着)以来2年ぶりの出走となるが、「当時に比べて格段に成長しています」と同師。久保田流調教で小回りコースも克服するか。

 梅雨期の競馬。先週こそ梅雨の晴れ間に開催されたが、今週末の福島地方は降雨の予報だ。道悪の巧拙がレースに影響するかもしれない。

 「フットワークから多少馬場が渋っても心配ないでしょう」と語るのが戸崎。雨の中で行われた前走はやや重の発表以上にぬかるんだ馬場だったが、レース前から道悪もこなせる手応えがあったという。「返し馬で緩い馬場にものめらず対応できていたので大丈夫だなと。しっかり上体を起こして走れるから道悪もこなせるのでしょう」

 七夕の雨を催涙雨という。雨で天の川の水かさが増して会えなくなった織り姫とひこ星の無念の涙になぞらえた呼び名だ。一等星の輝きを見せるグランオフィシエにとっても七夕の雨は催涙雨。重賞初制覇の歓喜の涙が福島のターフに降り注ぐ。

 《戸崎、七夕賞と相性抜群》
 七夕賞前日の8日に43歳の誕生日を迎える戸崎は同レースとの相性も抜群だ。JRA移籍3年後の16年にアルバートドックで初参戦して優勝。17年ゼーヴィント、21年トーラスジェミニでも勝利を挙げ、同レース7戦3勝。柴田善、田中勝と共に現役最多勝をマークしている。グランオフィシエで4勝目を挙げれば岡部幸雄元騎手の歴代最多勝記録に並ぶ。戸崎は「特に七夕を意識したことはありませんが、昔からお祭りは好きです」と語っていた。

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