宮本師 奥さんの応援を力にG1“三度目の正直”

[ 2023年4月28日 05:24 ]

22年有馬記念に出走したボルドグフーシュと宮本師(撮影・平松さとし)
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 【競馬人生劇場・平松さとし】1963年3月生まれだから現在60歳の宮本博師。父は元厩務員で叔父はタニノハローモアでダービージョッキーとなった宮本悳(いさお)元騎手。いわゆるサラブレッドだったため、トレセン入りした時には調教師を目指していた。

 厩務員時代にはキョウトシチーを担当し、98年のドバイワールドC(G1)にも挑戦(6着)。同馬とは大井や川崎、浦和など、交流競走で日本国内もあちこちを回った。

 そんな時、行く先々へ応援に駆けつけてくれる女性がいた。宮本師は述懐する。

 「私にはこの時点で離婚歴があったし、彼女は10歳も下だったので、好意を伝えるのに正直、負い目がありました」

 ところが、彼女が全てを受け入れてくれた事で、結婚した。すると「それを境にいろいろな事が好転した」と語る。

 それまでなかなか手応えをつかめなかった調教師試験の1次を突破すると、さらにその4年後には2次試験にも合格。調教師となり、04年、ついに厩舎を開業した。

 09年にはベストメンバーで京都新聞杯を優勝。開業6年目にして早くも日本ダービー(G1)というひのき舞台に立てるかと思ったが、同馬は骨折してリタイア。5年後の14年にはウインフルブルームが皐月賞(G1)3着。ダービーの出走権を手にしたが、大一番の2日前にハ行。出馬表に名を並べながらも出走を取り消した。

 さすがにこの時は「ダービーには縁がない?」と思ったそうだが、そんな事はなかった。3年後の17年、クリンチャーとキョウヘイの2頭を3歳頂上決定戦へ送り込んだ。三度目の正直で、ダービーの出馬表に2頭の管理馬を連ねてみせたのだ。

 さて、そんな宮本師が、今週末に行われる天皇賞・春(G1)にボルドグフーシュで挑戦する。昨年の菊花賞(G1)2着に有馬記念(G1)でも2着。今度こそG1初制覇となるだろうか。奥さま(友紀子夫人)の声援に押され、三度目の正直となる事を祈りたい。(フリーライター)

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2023年4月28日のニュース