鹿戸師JRA400勝“1勝懸命”の積み重ね

[ 2023年3月10日 05:00 ]

鹿戸雄一調教師
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 【競馬人生劇場・平松さとし】

 2月25日の中山競馬場。メインの幕張Sを勝ったのはジネストラ。管理する鹿戸雄一調教師にとって、これが記念すべきJRA通算400勝目となる勝利となった。

 2008年の開業だから今年で16年目。開業年にいきなりスクリーンヒーローでジャパンC(G1)を優勝すると、21年にはエフフォーリアが皐月賞(G1)、天皇賞・秋(G1)、有馬記念(G1)を制覇。年度代表馬に選定される活躍を見せた。

 このように順風満帆に思える調教師生活だが、実はその船出は苦戦の連続だった。

 08年3月2日、初めて送り込んだ管理馬のダイワジーニアスは1番人気に推された。初出走初勝利も期待されると、先頭で直線に向いた。しかし、最後は失速し4着に敗れた。

 その後も人気薄の馬が2、3着と好走したが、なかなか先頭でゴールをする馬はいないまま1カ月が過ぎた。4月12日には第2レース、第3レースと連続で2番人気の支持を得たがいずれも惨敗。翌日の桜花賞(G1)ではエフティマイアが2着となり、厩舎にとっての初勝利がG1という快挙にあと一歩と迫ったが、結果的に未勝利は続いた。

 開業後2カ月以上が過ぎた5月17日、東京で走ったスコルピオンキッスは3番人気。チャンスありと思われたが、落馬した空馬に絡まれて2着に惜敗した。

 この時はさすがに「このまま勝てないのか…」と肩を落としたという鹿戸師。しかし、そのわずか25分後、新潟で走ったダイワバイロンが6番人気ながら快勝。夢にまでみた勝利の瞬間が訪れた。

 「勝てると思った馬が負け続けても、一生懸命やっていればいずれ馬たちは応えてくれる。そんなふうに感じました」

 その思いを胸に馬に接し続けてきた結果が、冒頭で記した400勝達成へとつながったのだろう。先週も土日に1勝ずつを積み重ねた鹿戸厩舎。今週は11日のゆきやなぎ賞にネビュルーズを武豊騎手で出走させる予定だ。期待したい。 (フリーライター)

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2023年3月10日のニュース