【書く書くしかじか】「信頼される騎手になりたい」ハートの新たな挑戦

[ 2023年3月1日 10:10 ]

フリーに転身した亀田
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 ▼日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」は栗東取材班の田村達人(30)が担当する。デビューから所属した北出厩舎を離れ、1日付でフリーに転身した5年目の亀田温心(22)に心境を聞いた。

 ハートの新たな挑戦が始まった。デビュー5年目の亀田が今日から北出厩舎を離れ、フリーに転向する。亀田は「ジョッキーとしても、社会人としても(北出)先生には、ずっとお世話になりっぱなしでした。フリーになるけど教えてもらったことを忘れずに頑張ります」と気持ちを新たに、大きな一歩を踏み出す。

 デビュー年から12、40、38勝と着実に勝ち星を積み重ねた。21年はレイハリアで葵S、キーンランドCを勝ち、自身初の重賞制覇。順風満帆のように思えたが4年目の昨年、大きな壁にぶち当たった。デビュー5年未満の見習騎手は減量制度が適用され、男性は負担重量が3キロ減でスタート。勝利数31~50回以下が2キロ減、51~100回以下が1キロ減、101勝到達で減量卒業となる。亀田は4年目を迎えた時点でJRA通算90勝。22年は初勝利が3月12日と苦しい時期が続いた。「減量が1キロになって以降、勝てなくなりました。成績が悪くなると焦りが出て、いつの間にか周りが見えなくなる。負の連鎖でした」と振り返る。

 ちょうど1年前、師匠・北出師からのアドバイスもあり、フリーを考えるようになった。「自厩舎だけではなく、もっと他厩舎の方々と関係性を築いて自分から積極的にアピールできるようにしよう」と亀田。昨秋から高柳大厩舎、大久保厩舎、田中克厩舎など他厩舎の調教に騎乗する機会が増え、同時に少しずつ意識も変わった。「当然だけど厩舎によって馬のしつけが違う。新しい発見があるし、いろんなタイプの馬にまたがって乗り方の引き出しが増えました」と言う。

 成果は徐々に表れ、昨年9勝のうち10~12月で半数以上の5勝。今年1月22日には節目のJRA通算100勝を達成した。亀田は「この世界は結果が全て。一鞍、一鞍を大事にして勝ち星を増やし、信頼される騎手になりたい」と目標を掲げた。まずは目の前のことを真剣にコツコツと。小さな積み重ねがいずれ、大きな喜びにつながる。

 ◇亀田 温心(かめだ・はーと)2001年(平13)2月4日生まれ、京都市伏見区出身の22歳。19年に北出厩舎からデビュー。同年3月17日の中京7R(グランドガール)でJRA初勝利。20年チャンピオンズC(ヨシオ=16着)でG1初騎乗。JRA通算2110戦102勝(重賞2勝)。1メートル64、46キロ。血液型A。

 ◇田村 達人(たむら・たつと)1992年(平4)11月12日生まれ、大阪市出身の30歳。高校卒業後に北海道ケイアイファームへ。育成&生産に携わる。予想スタイルは取材の感触。

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2023年3月1日のニュース