【高松宮記念】8番人気ナランフレグが下克上!男泣きの丸田&宗像師 G1初制覇!

[ 2022年3月28日 05:30 ]

<中京11R・高松宮記念>ゴール前の大混戦から抜け出したナランフレグ(最奥、撮影・椎名 航)
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 涙、涙のタイトル奪取だ。春の芝スプリント王決定戦「第52回高松宮記念」が27日、中京競馬場で行われ、後方待機で末脚に懸けた8番人気ナランフレグ(牡6=宗像)が直線イン強襲V。キャリア16年目の丸田恭介(35)はレース後、涙が止まらない。師匠・宗像義忠師(67)とそろってG1初制覇となった。2着に5番人気ロータスランド、17番人気キルロードが3着。3連単278万円超えの大波乱となった。

 思いが届いた。ナランフレグに騎乗した丸田はJRA・G112度目の騎乗で初勝利。ゴールに飛び込んだ直後、右手でガッツポーズをつくった。相棒を称えるウイニングランでは涙があふれ出た。「(観客席から)ファンの方から、もっともっと喜んでいいよ、と声をかけてもらった。それに応えて大きくガッツポーズをしました」。検量室前に引き揚げてくると関係者に向けて「ありがとうございました」と何度も何度も感謝の思いを口にした。

 好判断が勝利につながった。序盤は後方でリズム重視。1枠2番スタートから距離ロスを避け、内ラチ沿いのコース取りにこだわった。「馬のリズムを考え、あのポジションを取りました」。1番人気レシステンシアが前半3F33秒4で飛ばして行く。前日の大雨でたっぷり水分を含んだ重馬場を考慮すれば、先行勢には相当タフな流れ。14番手で4コーナーを回り、末脚に懸けた。直線、内側に馬が殺到。何度も接触する場面があった。右ステッキで鼓舞し、人馬とも絶対にあきらめない。残り100メートルで内のレシステンシア、外から追い上げるトゥラヴェスーラの間に生じた1頭分のスペースを突き、グイッとひと伸び。重賞勝ちの実績がない6歳馬が1~5着まで0秒1差の大接戦をモノにし、G1初制覇のゴールを駆け抜けた。

 「最後の直線、抜けて来た時は本当にうれしかった。あまり湿った馬場を経験していない中で、しっかりこなしてくれた。先生(宗像師)に何かひとつでも(G1タイトルを)と思っていました。大きな舞台で恩返しができて幸せです」

 開業30年目を迎えた師匠・宗像師にとっても延べ51頭目のJRA・G1出走で初勝利。師弟の絆で勲章を手に入れた。宗像師は「ホッとしました。やっとですね。G1でも(ジョッキーは)落ち着いていたし、ずっとナランフレグに関わっていたので、その思いもあったと思う。人馬ともによく頑張ってくれました」とねぎらいの言葉をかけた。

 昨秋の王者不在(ピクシーナイトが骨折で休養中)の芝スプリント春の頂上決戦で頂点へ。「短いところの馬だと思うので秋はスプリンターズS(10月2日、中山)のイメージですね」。春秋連覇が懸かる大舞台はまだ先。今後の動向に注目されつつ、新王者として堂々この路線をリードしていく。 

 《村木オーナーも目に涙浮かべ…》接戦を制してのG1制覇に村木克成オーナー(49)も目に涙を浮かべる。「しびれました。声が出て、ノドがカラカラ。信じられない気持ちです」。ナランフレグは以前、所有していた西条公雄オーナーの死去に伴って昨年6月、札幌のTVh賞から村木さんが引き継いで所有している。「天国で見てくれていたらいいなと思います。後押ししてくれたのかな」と感無量の表情だった。 

 《生産の坂戸牧場 快挙に興奮気味》ナランフレグの生まれ故郷は北海道日高町の坂戸牧場。事務長の渡辺明治さん(85)はG1勝利に驚きを隠せない。「テレビにかじりついて見ていました。力をつけているので期待していましたが、まさかここまでとは…。直線に向いてどこにいるのか分かりませんでしたが、凄いところから抜けてきた。とにかくうれしい」と興奮気味。母ケリーズビューティは現在ディスクリートキャットの子を受胎中。4月半ばに出産予定となっている。 

 ナランフレグ 父ゴールドアリュール、母ケリーズビューティ(母の父ブライアンズタイム)16年4月5日生まれ 牡6歳 美浦・宗像義忠厩舎所属 馬主・村木克成氏 生産者・北海道日高町の坂戸節子氏 戦績29戦6勝(重賞初勝利) 総獲得賞金3億3065万7000円 馬名の由来はモンゴル語で太陽+速く飛ぶ馬

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