【スプリンターズS】ダノンスマッシュ 父子初快挙へ静かなる闘志、軽く流し万全

[ 2021年9月30日 05:30 ]

<スプリンターズS>坂路で追い切るダノンスマッシュ(撮影・亀井 直樹)
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 21年秋のG1はスマッシュの圧勝劇で幕を開ける。「第55回スプリンターズS」(10月3日、中山)の最終追い切りが29日に栗東トレセンで行われ、不動の主役ダノンスマッシュ(牡6=安田隆)が文句なしの仕上がりを見せた。昨年12月の香港スプリントで世界の強豪をねじ伏せたキング。国内に戻れば格の違いは歴然だろう。勝てば父ロードカナロアと“父子2代春秋スプリントG1制覇”の快挙となる。

 春秋スプリントG1連覇にがっしり手を掛けたダノンスマッシュの最終調整だった。

 実質的な最終追いは先週の時点で完了している。この日のテーマは風船のようにパンと膨らんだ気持ちをいかに抑え込むか。坂路の最初の1Fを14秒9で入り、2F目もじっくり14秒0のラップ。3F目から徐々に加速(1F12秒9)し、ラストを12秒2で締める。馬の気をそがずに前を向かせる最上級の仕上げが施された。

 馬なりで流した最終追いが“静”なら、“動”はハードに追われた1週前。これが実戦さながらの迫力だった。鞍上は川田。シリウスSに出走するダノンスプレンダーと併せ、4F50秒0~1F12秒2の時計で1馬身先着。鞍上が振り返る。

 「1週前は久しぶりのレースということもあり、しっかりやりたいとの指示。動けていたし、とてもいい追い切りだった」

 今回は春の香港遠征(チェアマンズSP6着)から5カ月ぶり。いわゆる“ぶっつけ”になるが判断に迷いはなかった。「一戦一戦を完璧に走ってくる」(岩本助手)“完全燃焼タイプ”ゆえ、前哨戦は必要ない。むしろ詰まったローテが前走のようにマイナスに働くこともある。

 今回は放牧から早めに帰厩させ、丹念に乗り込まれてきた。スプリント王としてのプライドを汚すことは絶対にできない。川田も自覚する。

 「高松宮記念は得意じゃない馬場でも気持ちの強さを見せてくれた。年を重ねるごとにスプリントホースとして完成度が高くなっている。若い時より今が強いのは間違いない」

 スプリンターズSは1番人気に支持された一昨年が3着。昨年はグランアレグリアの強襲を浴びて2着に敗れた。今年こそだ。

 「もちろん勝たなければならない存在。そんなレースをしなければと思う。日本のスプリントホースの頂点として、皆さんが望む結果をお見せできれば」

 川田の表情に揺るぎない自信がみなぎる。“父子2代春秋G1制覇”の歴史的快挙は格の違いを見せつける圧勝劇で彩られる。

 《父子春スプリントG1制覇は2例》スプリントG1の父子制覇は父サクラバクシンオー(93、94年スプリンターズS)―子ショウナンカンプ(02年高松宮記念)をはじめ4例。同一G1に限ると高松宮記念のロードカナロア―ダノンスマッシュ以外には父キングヘイロー(00年高松宮記念)―子ローレルゲレイロ(09年同)だけ。春秋スプリントG1父子制覇なら初の偉業となる。

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2021年9月30日のニュース