【小倉新馬戦】ディープの結晶 オールタイムハイ 池江泰郎氏が馬主

[ 2021年8月10日 05:30 ]

Road to 2022

池江泰郎氏所有のオールタイムハイ
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 東京五輪が終わり、今週から再開する小倉で注目の素質馬がベールを脱ぐ。15日の小倉5R新馬戦(芝1800メートル)にディープインパクト産駒オールタイムハイ(牡)が出走する。オーナーは父を育てた匠こと本紙評論家の元JRA調教師・池江泰郎氏(80)。同馬を管理するのが長男・池江泰寿師、鞍上はディープの主戦ジョッキー武豊だ。魅力あふれる結束力で来春のクラシックに向けて第一歩を踏み出す。

 五輪イヤーにふさわしい若駒が今週デビューする。その名はオールタイムハイ。馬名の由来であり、込められた願いは、最高記録が出ますように…。

 馬主は本紙G1予想で、おなじみの匠こと池江泰郎氏。05年無敗の3冠馬でG17勝のディープインパクトを育てた名伯楽である。同馬を管理するのが長男の池江泰寿師、ディープの主戦ジョッキーでもある武豊が騎乗する。そして父がディープインパクト。ファンにとっては自然とワクワクしてくる注目の一頭だ。

 オーナーの池江氏は調教師を定年引退後「楽しみがあるように」とJRA馬主となり、繁殖牝馬のミリアグラシア(現役3勝)を購入。オールタイムハイが3番目の産駒となる。初めて見た時の印象について池江氏は「形のいい馬だなと思いました。毛色や顔もサンデーサイレンスに似た馬だなと。父(ディープ)よりも、おじいちゃんに似ていると感じました」と祖父の姿をダブらせる。

 初子クレアーレ(牡4、父ディープインパクト)はJRAで未勝利だったが、地方園田に移籍し、今春3勝を挙げ、再び中央に復帰(現在放牧中)する。2番子サトノクリーチャー(牡3、同)は初戦、鮮やかな差し切り勝ちを決めたが、脚元を故障し引退。そして3番子オールタイムハイは当歳時から不思議な光りを放ち始めた。ディープを育てた池江氏が祖父にあたる伝説の名馬に思いを馳(は)せるほどである。
 「胴も長めで跳びの大きい馬。馬っぷりもいいね」

 栗東入厩後、じっくり乗り込み、態勢は整いつつある。「厩舎に預ければ、私は任せているだけ。まずは無事に回ってきて、それで結果がついてくれば。楽しみにしています」

 池江氏は現役時と同様に大らかな心で孫を見守るような優しい視線を注ぐ。19年7月、天国に旅立ったディープインパクトが育ての親に送り届けた最後の忘れ形見が、オールタイムハイなのかもしれない。今週のデビュー戦、いきなり金メダル奪取なら夢が膨らむスター候補生の誕生となる。

 《V発進へ 兼武助手「息整った」》5月中旬にゲート試験をパスしたオールタイムハイは、いったん放牧を挟んで先月上旬に再入厩。小倉に照準を合わせ、じっくり乗り込んできた。500キロ近くある馬体の持ち主。迫力満点の見た目で古馬のようにドッシリ構えている。兼武助手は「ディープ産駒の中でも、この馬は雰囲気があります」と評価する。

 担当・森沢助手はかつて3冠馬オルフェーヴルに携わった。経験豊富なスタッフが付きっきりで仕上げ、5日の1週前追い切りは坂路4F51秒8~1F12秒1と好時計をマーク。バネの利いたフットワークで加速ラップを刻んだ。併せたコールドショット(3歳未勝利)に1馬身遅れたものの、あれは追走した分。心配はいらない。「瞬時に反応するというより、じわじわ加速していく。動きはいいし、息は整った」と兼武助手。V発進へ、着々と準備を進めている。

 《元調教師の馬主登録 浅見氏が最初》JRAの元調教師が馬主登録したのは浅見国一氏(12年5月28日死去)が最初。キセキ(1勝、現役のキセキとは別)、グッドボーイ(0勝)、レディー(所有時1勝)を所有した。レディーの新馬勝ちは12年6月30日で、浅見氏はすでに亡くなっていたが、死去後の1カ月間は所有権が認められるため、6月28日の出馬投票時点で所有権のあった浅見氏の名義での白星となった。中尾謙太郎氏はホッカイドウ競馬で馬主に。ハローアゲイン(1勝)は自身の調教師時代に管理して96年桜花賞を制したファイトガリバーと同じ母系だった。JRAにも参戦したが9、11着だった。

 ◇池江 泰郎(いけえ・やすお)1941年(昭16)3月1日生まれ、宮崎県都城市出身の80歳。騎手時代は「逃げの池江」の異名を取り、通算3275戦368勝。引退後は調教師になって79年に開業。通算6768戦845勝。ディープインパクト以外にもメジロデュレン、メジロマックイーンなどG1馬を多数、手がけた。11年に調教師を引退。長男・泰寿氏(52)は現役調教師。

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