思い出す04年オークス前日アンミツ好騎乗 タイムパラドックスで平安S制覇

[ 2020年5月22日 05:30 ]

2004年の平安Sを制したタイムパラドックスと安藤光
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 【競馬人生劇場・平松さとし】今週末、東京競馬場でオークス(G1)が行われる。数々の名牝を生んだレースだが、2009年の覇者ブエナビスタも間違いなく素晴らしい牝馬だった。古馬となりジャパンCや天皇賞(秋)を勝つなど生涯でG1を6勝もしたが、オークスの時、手綱を取っていたのは“アンカツ”こと安藤勝己騎手。そして、当時、一緒にJRAの騎手をしていたのが“アンミツ”こと安藤光彰騎手。現在、調教助手となった彼は安藤勝騎手の1つ上の兄だった。

 2人は共に公営・笠松で騎手となった後、JRA入り。兄が07年にJRA所属となった際の同期は皆、初の平成生まれ。1959年生まれの安藤光騎手だけ48歳だった。ちなみにJRA所属となったのは弟の方が早かったわけだが、当時、話をうかがうと「別に追いかけたわけではない」と兄。「勝己は勝己。ライバルと思ったことはなく、笠松時代も一緒に助け合っていましたから」と語り、さらに続けた。「勝己は弟なのでおおらかに育てられました。だから性格も僕とは全く違う。ザッツザプレンティの菊花賞(03年1着)みたいな大胆な騎乗は彼の性格だからできた。僕にはできません」

 騎手としての数字は確かに弟の方が兄を圧倒した。しかし笠松で同期デビューしたばかりの頃は兄の方が成績は良かったという。

 「まあ、それで僕は競馬を甘く見てしまい、追い抜かれたんですけどね」

 そう語った弟思いの兄の笑顔が忘れられない。

 冒頭で記した通り今週末、東京ではオークスが行われるが、その前日、京都で施行されるのが平安S(G3)。公営所属時の安藤光騎手が04年にタイムパラドックスで優勝したダート重賞。ゴール前300メートルにわたる叩き合いの末、ゴール寸前アタマだけかわすという好勝負での優勝劇だった。現在は新型コロナウイルスの影響で騎手の移動制限が設けられている。そのためオークスとは100%別の顔触れの騎手たちの戦いとなる。アンミツ騎手のような騎乗で好レースは日曜のG1だけではないという競馬を見せてほしいものだ。(フリーライター)

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