【ホープフルS】ワーケア95点 綺麗にお手入れで体調万全トモの発達も十分

[ 2019年12月24日 05:30 ]

クリッピングによって整えられて綺麗な馬体のワーケア(撮影・西川祐介)
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 ワーケア(Wakea)とはハワイ語で「空の神」を意味するそうですが、英語でワーケア(wer=成人男性、care=お手入れ)と言えば「メンズスキンケア」。この意味の方がワーケアの鹿毛には合っています。被毛を見ると…。鞍やゼッケンが当たるキ甲の周辺とヒ腹を除いた部分が奇麗に刈り上げられています。クリッピングと呼ばれる毛刈り。欧州では日常的に行われていますが、毛刈りした日本の競走馬は少ない。ホープフルSの有力馬でも刈っているのはワーケアだけです。英国に留学経験がある手塚調教師の指示でしょう。

 クリッピングは馬体が冷えるのを防ぎます。毛が長いと、調教で汗をかいたり馬体を洗浄した後の乾きが遅くなる。人間の長い髪と一緒。風呂上がりにすぐドライヤーを当てて乾かさないと風邪をひいてしまいますが、馬は体が冷えて腹痛を起こすこともある。そこで、鞍下の周辺はケガ予防のために残したうえで、残りをそっくりバリカンで刈るのです。毛刈りには新陳代謝のアップや皮膚病予防の効果もあります。

 ワーケアをクリスマスの風物詩になぞらえるなら、もみの木のクリスマスツリー。この常緑針葉樹の枝は秋から冬にかけて風通しをよくするために剪定(せんてい)します。枝が茂り過ぎると株が蒸れて枯れてしまうから。いわば樹木のクリッピングです。

 剪定された鹿毛は丸みを帯びた素晴らしい張りを保っています。中でも際立つのがトモ。臀部(でんぶ)とトモの付け根、ヨロ(トモのくびれ部分)の筋肉が発達しています。首差しは奇麗に抜け、筋肉の一つ一つが浮かび上がっています。クリスマスツリーの電飾のように。飛節は固く締まっていませんが、角度はいい。成長とともに締まってくるはずです。顎っぱりもいい。食欲旺盛なのでしょう。もみの木は水やりを欠かさなければ、春に黄色い花を枝先に付けます。ワーケアは剪定というメンズスキンケアで来春、どんな花を咲かせるか。

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2019年12月24日のニュース