馬具知って馬券も“矯正” 国枝師シャドーロールでG1馬続々

[ 2019年7月17日 05:30 ]

白いシャドーロールを装着して調教を行う国枝厩舎の馬たち
Photo By スポニチ

 馬具を知れば馬券が獲れる!?福島最終週のメイン・福島テレビオープン(21日)に出走する国枝厩舎の2頭にはシャドーロール。いったいどんな効用があるのか?令和初めての夏ならではのタイムリーな話題をお届けする新企画「ナツ☆ウマ」の今回は競走馬の悪癖を矯正する馬具のあれこれをまとめて紹介する。

 おそろいの白いシャドーロールを鼻に装着した一団が縦列で美浦トレセンの馬場に入っていく。福島テレビオープンに出走するコズミックフォース、ロジチャリス、さらに2歳新馬…。おなじみ国枝厩舎の集団調教だ。「厩舎開業時(90年)からレースでも調教でも着けていますよ。うちの厩舎の馬だと遠目にも分かるように白でそろえています」と国枝栄師(64)は切りだした。

 同厩舎のG1馬ブラックホーク、ピンクカメオ、マツリダゴッホ、アパパネ、ダノンプラチナ、アーモンドアイ…。ブリンカー着用のマイネルキッツを除く管理馬はシャドーロール着用だ。きっかけは山崎厩舎の調教助手だった昭和の最後。研修先の英国でシャドーロールの一団を見かけた。「ミルリーフ(70年代の欧州最強馬)を出したイアン・ボールディング厩舎でした。装着する理由を調教師本人に聞いたら、目立つからだって(笑い)。でも、効果はあります。だから私も30年近く着けている」

 日本では90年代の最強馬ナリタブライアンのトレードマークとして有名になった。物見がひどく、レース中に自分の影(シャドー)にも驚いていたため下方の視界を遮るこの矯正馬具を2歳秋に着用。集中力を高めて、6連勝でダービーを制した。「物を見る馬には効果が大きい。遮られた下方の視界を得るため頭を下げて走ろうとするからフォームの矯正にもなる。でも、私が重視しているのはプロテクターとしての役割です」。前方を走る馬が跳ね上げる芝や砂の塊が目に直撃するのを防ぐ役割。キックバックが激しいダート戦ではビッグサイズ、芝ではスモールサイズを覆面(耳当てなし)と共に着けている。「外すのはブリンカーなど他の矯正用馬具を着けた時とオーナーからリクエストがあった時だけです」。今週の福島メインに出走する2頭も白いトレードマークとともに登場する。

 ▼クロス鼻革<顔の位置を固定> 2本の革が鼻の上でクロスしている鼻革。2カ所で固定するため口を開けたり顔を上げたり舌を越すのを防ぐ効果がある。ディープブリランテ、ドゥラメンテ、レイデオロなどのダービー馬も着用した。口角の上下で固定するコンビ鼻革にも同様の効果がある。

 ▼リップネット<掛かる癖抑える> 敏感な口を覆うネット状の馬具。口元に意識を集中させ、引っ掛かる癖を抑える効果がある。鼻先がネットで隠れて着順判定に支障を来すためレースでの使用は認められていない。マズル(鼻腔=びこう=部)ネットとも呼ばれる。

 ▼口籠(くつこ)<馬房の中で装着> 馬の口につける籠(かご)で、マウスネットとも呼ばれる。過剰採食や腹痛などでカイバ制限中の馬が寝わらを食べないように馬房の中で装着するケースが多い。

 ▼ホライゾネット<イレ込みが軽減> 目の周りを細かな網状のカップで覆う装具で、パシュファイヤー、トンボとも呼ばれる。前方の馬が跳ね上げた砂が目にかかるのを嫌がるケースに用いられる。網に気を取られて、おとなしくなるなどの効果もある。ダイワメジャーがイレ込み軽減のためにパドックで着用した。

 ▼覆面<日本独自の馬具> 「メンコ」とも呼ばれる日本独自の馬具。砂をかぶるのを嫌がる馬に用いることが多い。音に敏感な馬や気性のうるさい馬には耳栓代わりに耳当ての付いた覆面を装着。ただし、馬は気持ちを耳のしぐさで示すため、耳を覆うと精神状態がつかめない。そこでパドックや馬場入り時だけ着け、ゲート入り直前に外すケースもある。

 ▼トライアビット<厩舎評判のハミ> ハミは20種類以上あるが、今、厩舎の間で最も評判がいいのがオーストラリアで考案されたトライアビット。ノーマルビットをD型リングで補強し、操作性を高めたハミだ。水平になっているリングの上部が口に均一に当たるため、引っ張ってもきつく締まらない。引っ掛かる馬やモタれる馬をコントロールしやすい構造になっている。

 ▼ブンカー<集中力を高める> 350度といわれる馬の広い視野の後方と真横を遮り、前方に集中させるブリンカー。遮眼革、遮眼帯とも呼ばれ、視界をカットする縁の浅いハーフカップや縁の深いフルカップなどがある。馬は視界の悪い方向に進まない習性を利用して、モタれる側にだけ装着するケースも。レースで使用する場合は出馬投票時に届出が必要。出走表に[B]と表記される。

 ▼チークピーシーズ<視界を遮る効果> チークピーシーズ(頬当て)は頬革に棒状のボアを装着し、左右、後方の視界を遮る効果がある。前方に意識を集中させるためブリンカーの代わりに用いられる。日本に最初に導入したのが馬具職人の内海雅之氏。ブリンカー同様、モタれる側にだけ装着するケースもある。「極太のチークピーシーズはブリンカーと同じぐらいの効き目があります」と内海氏は語る。

続きを表示

この記事のフォト

「ディープインパクト」特集記事

「新潟2歳S」特集記事

2019年7月17日のニュース