日本の名伯楽から「世界のクニエダ」へ アーモンドアイに地元も白旗ムード

[ 2019年3月27日 09:00 ]

アーモンドEyecatch(1)

アブダビのテレビ局「YAS」のファニー・サルモンさんからインタビューされる国枝師
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 ドバイの地でも注目を集めるアーモンドアイ。このスター牝馬の周囲に起こる出来事を4回にわたってリポートする連載「アーモンドEyecatch」がスタート。出走馬関係者の生の声、メイダン競馬場で繰り広げられる取材合戦など、現地の今を詳細に伝える。

 決戦まであと4日となったこの日、メディアの数も増えてきた。日本人と見るや海外の記者から次々と声が掛かる。「アーモンドアイのミスター・クニエダが来たら教えてほしい」。日本ではトップトレーナーだが海外遠征の経験は少なく、世界的な知名度はまだ低い。

 国枝師は26日早朝にドバイ到着。空港から競馬場に直行。アーモンドアイのキャンターを見届け、報道陣の前に姿を現すと、すぐに二重三重の人の輪ができた。師は「俺もアーモンドアイに乗っかって名前を売ろうかな」と笑った。

 囲みが解けると真っ先に取材を申し込んだのがアブダビのテレビ局「YAS」。インタビュアーのファニー・サーモンさんは、かつてフランスの競馬専門チャンネル「エキディア」に所属。「エルコンドルパサーにディープインパクト、オルフェーヴルと日本の強い牡馬はたくさん見てきたわ。でも、こんなに強い牝馬は初めて。アメージングな(驚くべき)馬ね。女性としても凄く応援している。今回はきっと勝つわ」

 続いて地元のドバイレーシングテレビが取材。ドバイ版「グリーンチャンネル」は世界中のレースを放送する。スタッフのモハメド・アフメッド氏は「JRAのレースも全て中継しているので、ドバイでも日本馬への注目度は相当高い。当然、アーモンドアイはみんな知っているよ」。ドバイターフには地元のドリームキャッスルなど強豪も出走するが「残念だが勝つのはアーモンドアイだよ。メイダンの芝にフィットする走りだ」と白旗ムード。ちなみにアフメッド氏の父アクバルさんは元騎手。「日本でも勝ったことがあるんだぜ」とドヤ顔。84年5月に京都で行われたARC国際騎手招待競走で1着。競馬の世界は意外に狭い。

 その後も取材攻勢は続いたが、国枝師はほぼ通訳を介さず、流ちょうな英語で受け答え。これには普段取材している日本勢の方が驚いた。「大したこと言ってないから」と謙遜したが、海外メディアの見方は大きく変わったはず。日本の名伯楽から「世界のクニエダ」へ。アーモンドアイと共に、トレーナーの存在感も日に日に増していく。

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2019年3月27日のニュース