菜七子 初の新馬戦Vと連勝!師匠望む「ずる賢い競馬」体現

[ 2018年9月16日 05:30 ]

中山6Rの新馬戦をハルサカエで勝った藤田菜七子(中央)
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 藤田菜七子(21)が15日、中山6Rを5番人気ハルサカエ(牝2、大竹)で制し、自身68回目の騎乗で初の新馬戦勝ち。JRA女性騎手史上初となるG1騎乗へ夢を膨らませた。また、同8Rでも9番人気コウユーホクト(牡3、竹内)を勝利に導き、自身初の騎乗機会2連勝を果たした。今年のJRA19勝目、通算39勝目とし、自身が持つ女性騎手のJRA年間最多勝利、通算最多勝利記録を更新した。

 また勝った。菜七子が8Rを伏兵のコウユーホクトで大外から差し切り、6Rに続いて自身初となる騎乗機会2連勝を達成した。

 「いつもいい馬に乗せていただいているので…。馬のおかげです。ありがたいですね」

 感謝の言葉を口にした菜七子。この日の中山競馬場は朝から雨が降りしきった。その中、6Rでは「前半のレースを見て、今日は多少無理をして前へ行っても残れる印象だったので」との馬場読みで、騎乗したハルサカエを押して押してハナへ。ゴール前で2着馬の猛追に遭ったものの、首差しのいで逃げ切り勝ちを決めた。

 デビュー3年目、自身68回目の騎乗での新馬戦初V。「今まで勝ったことがないのは知っていたのでうれしい。オーナー(齊藤栄一氏)も初出走だったそうで、本当に良かった」。そう笑顔を見せた菜七子に、さらにうれしい知らせが飛び込んできた。同馬を管理する大竹正博師は「距離を(1200メートルから)延長して、芝も使ってみたい」と今後の新たな可能性に言及。菜七子とのコンビ継続で挑む今後の重賞、さらに12月9日の2歳牝馬G1、阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神、芝1600メートル)についても「テンションが上がりやすいので間隔は空けなければならないが、(出走を)検討してみます」とした。昨年の阪神JFでは、2歳新馬戦(17年6月24日函館6R、ダート1000メートル)を制したモルトアレグロが出走し、5着に入っている。

 8Rでは「前に行ければ行こうと思っていたけど、他の馬が飛ばしていったので、切り替えて後ろから運んだ」と、道中は中団でじっくりと脚をためる。最後の直線で大外に持ち出すと、一気の末脚をサク裂させた。6Rも8Rも同じダート1200メートルの舞台で見せた正反対の騎乗。師匠の根本康広師が望む「いい意味でずる賢い競馬」を見事に体現した。

 トップ騎手たちが集う2場開催で、逃げ、差し自在の立ち回りで人気薄の騎乗馬を勝利に導いての1日2勝。G1初騎乗を目指す菜七子にとって最高のアピールとなった。

 ▼新馬戦 サラブレッド系馬のデビュー戦のこと。夏の2歳戦開始と同時に始まり、3歳春の3月頃まで行われる。新馬戦に勝てば次のクラスに進み、勝てなかった馬は未勝利戦で戦うことになる。2003年6月より、新馬競走にすでに出走したことのある馬は出走不可となり、新馬競走は初出走馬のみの競走となった。また、08年6月21日から新馬競走に「メイクデビュー○○」(○○は場名)という愛称を設定して行われている。ちなみに、菜七子が今回制した新馬戦のレース名は「メイクデビュー中山」。

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