父子の夢第一歩…土曜中山5Rで武藤師&武藤雅の親子タッグ実現

[ 2017年3月3日 05:30 ]

土曜中山1Rでデビュー、騎手人生をスタートさせる武藤雅騎手
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 今週、デビューを迎えるJRAの5人の新人騎手。父に元騎手で調教師の武藤善則(49)を持つ武藤雅(19=水野厩舎所属)は、土曜中山1R(ラインアストロ)でデビュー。5Rは武藤厩舎所属のニシノリサイタルに騎乗し、いきなりの親子タッグで勝利を目指す。

 振り返れば、遠回りではなかった。今週末にデビューを迎える武藤雅。「緊張より楽しみの方が大きいです」と笑顔を見せる。その様子を驚きと喜びの目で見つめるのが父の武藤善則師だ。「昔はツンとしていて、家族写真でも一人だけ笑わないような子だった。あの一年間で激変しました」。

 小学校時代は4つのクラブを掛け持ち、サッカーに明け暮れた。本気でプロを目指したが、身長的な限界を感じ中学進学時に馬乗りの道へ。所属した北総乗馬クラブで3年間、騎手の基礎をつくり上げた。雅は「凄く厳しかったけど、馬とのコンタクトの仕方を教わった。競馬に興味を持つきっかけになりました」と振り返る。

 満を持して挑んだ競馬学校の入学試験。だが、結果はまさかの不合格で、善則師は「かなりの挫折だったと思う。それでも本人は真摯(しんし)に受け止めていた」と回顧する。1年間、普通高校に通いながらも絶やさなかった騎手への思い。2度目の受験で合格を勝ち取った。師は「あの一年間で丸くなった。この世界で生きていくために“愛されキャラ”でいるのは大事。雅にとって大切な期間だった」と父親の表情で話した。

 デビューの土曜中山では5鞍に騎乗。5R(ニシノリサイタル)では武藤厩舎の馬に騎乗し、いきなりの親子タッグが実現する。雅は「最初が肝心だと思うので新人らしく積極的に。同期より先に勝ちたいです」。くしくも86年3月の父のデビュー戦と同じ勝負服。善則師は「お世話になっているオーナーの計らいです。自分は騎手として果たせなかった夢がたくさんある。雅には頑張ってほしい」と思いを託す。紆余(うよ)曲折があったから見える景色。いよいよ、親子の夢へのゲートが開く。

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2017年3月3日のニュース