邦彦氏 57年に騎手デビュー!テン乗りで好結果残す

[ 2016年8月13日 05:30 ]

1972年、日本ダービーを制したロングエースと武邦彦

武邦彦氏が死去

(8月12日)
 武邦彦氏は57年3月に騎手デビュー。同期には増沢末夫がいた。騎手としては長身の1メートル72。だが馬に負担をかけないスマートな騎乗スタイルから「ターフの魔術師」の異名を得て人気を博した。当時は「天神乗り」と言われるアブミを長くして、上体を起こし気味でまたがる騎乗スタイルが主流だったが、武邦彦が当時のトップジョッキー野平祐二、保田隆芳の騎乗スタイルをまねて、独学で生み出したフォームだ。

 デビュー16年目の72年にテン乗りのアチーブスターで桜花賞V、1番人気ロングエースでダービーも勝ち一気にブレーク。翌73年の菊花賞でもテン乗りのタケホープでハイセイコーを撃破。74年にはキタノカチドキで皐月賞と菊花賞を制覇。特に皐月賞は史上初の単枠指定のプレッシャーをはねのけてV。この勝利で武邦彦は牡馬3冠を全制覇した。76年には有馬記念をトウショウボーイとの初コンビでV。テン乗りで好結果を出すことから「勝負師」とも呼ばれた。ちなみに本人は会心のレースとして78年インターグシケンの菊花賞を挙げている。

 また同時期に活躍した福永洋一が「天才」と呼ばれたのに対し、武邦彦は「名人」とも呼ばれた。関西所属の騎手では当時の歴代最多勝で、初の1000勝騎手となった。弟弟子の河内洋は「そばで武さんを見られたから、いろんな意味で勉強になった」と言い、武邦彦氏が最後に所属した厩舎の武田作十郎師は「豊には河内がおる。河内には邦ちゃんがいた」と武父子の関係性を語っていた。通算7679戦1163勝(うち重賞80勝、八大競走8勝)。

 ◆武 邦彦(たけ・くにひこ)1938年(昭13)10月20日、京都府生まれ。57年3月騎手デビュー。通算7679戦1163勝。関西所属騎手で初の通算1000勝を達成。八大競走8勝を含む重賞80勝を挙げた。85年2月に騎手引退。87年に調教師として厩舎開業。09年の引退まで4193戦375勝(うち重賞18勝)。騎手の豊は三男、幸四郎は四男。

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2016年8月13日のニュース