【日本ダービー】キタサンブラック　サブちゃん「まつり」万全リハ

併走馬に先着したキタサンブラック

　さあ、ブラック祭りだ！！競馬の祭典「第８２回ダービー」の追い切りが２７日、栗東、美浦トレセンで行われた。歌手・北島三郎がオーナーのキタサンブラックが併せ馬で豪快な動きを披露、ラスト１Ｆ１２秒３の切れ味できっちり１馬身先着して仕上がりの良さを見せつけた。勝てば「歌を歌う」と公言したサブちゃん。その美声を聴ける時が刻一刻と迫ってきた。

【日本ダービー】

　皐月賞３着から巻き返しを狙うキタサンブラックは、黒岩（レースは北村宏）を背にＣＷコース入り。ラガーギアチェンジ（４歳５００万）との併せ馬は残り２Ｆで馬体を接すると、闘争心をむき出しに自らハミを取り、ラスト１Ｆは馬なりのまま１２秒３。雄大な馬体を器用にしならせ、はずむようなフットワークで駆け抜け１馬身突き放した。清水久師は満足そうに振り返る。

　「時計の指示は出さず乗り手の感触で追い切ってもらった。最後は手が動いていなかったので、反応が良かったんじゃないかな。いい状態を維持できている」

　１週前に北村宏が栗東に駆けつけＣＷコース（ラスト１Ｆ１１秒７）でビシッと仕上げ、すでに態勢は整っている。そのうえで「１頭になるとフワッとするので、遊ばせないようにするため」と指揮官は併せ馬の意図を説明。実戦を意識して精神面のスイッチを入れたが大一番へ青写真通りの仕上がりを迎えたようだ。

　馬格を生かしたダイナミックなフォームが異彩を放つが「入厩当初は体の大きさと中身が比例していなかった」。そのため陣営は成長期に負荷をかけすぎないよう、じっくりと育てあげたためデビューは年明け１月３１日。仕上がるまでに時間がかかったが、レースではポテンシャルの高さはデビューから際立っていた。差し切り、抜け出しと形の違う競馬で２連勝を飾ると３戦目のスプリングＳではリアルスティールを首差しりぞけ３連勝で重賞初制覇を飾った。皐月賞は３着に敗れたが「大跳びで奇麗なフォームをしているので広いコースは合っている。しぶとく脚を使うので距離延長も問題ない」と清水久師も巻き返しへ意欲満々。

　オーナーの北島三郎は前走のレース直後「歌いそびれてしまったね。でもダービーで勝ったら歌うよ。自分はこの馬から夢をもらっている。ダービーはブラック祭りになればいい」と話していたが、この動きなら文句なし。２戦２勝と持ち味が生きる東京コースを味方に“祭り”の舞台装置が出来上がった。