【きさらぎ賞】ベール“見た目並”でも12秒4

[ 2012年2月2日 06:00 ]

<きさらぎ賞>ベールドインパクト(左)は古馬との併せに馬なりで先着

 クラシックの登竜門レース・きさらぎ賞。最終追い切りではベールドインパクトが素質の片りんをうかがわせる軽快な動きを披露した。先週の京都牝馬Sで重賞初勝利を挙げたクリスチャン・デムーロ(19)が、兄のミルコもほれ込む大器で重賞2連勝を狙う。

 ベールの向こうに素質が見え隠れする。ベールドインパクトの最終追いの見た目は並。だが、時計のインパクトは大だ。CWコースの3頭併せで外ヴィクトリーマーチ(5歳500万)に首ほど先着し、内アサクサショパン(4歳500万)と併入。直線は全くの馬なりで速さは感じない。それでいてラスト1Fは12秒4。6F83秒0も合格点だ。大久保龍師は表情を緩めた。「疲れの残らない程度にソフトな感じで。追ってはいないけど速いね。この時計なら十分」

 春の大舞台を意識できる素材ながら、未勝利勝ちには3戦を要した。重賞でも上位の素質を秘めながらなぜ?その理由はこうだ。「初戦から勝ちにいけばあっさり勝てたと思う。でも、あえてそれをせずに流れを覚えさせ“ここから脚を使うんだよ”ということを3回かけて覚えさせた」

 コーナーワークに難があったため、将来のために矯正した。その教師役は過去3戦全ての手綱を取ったミルコ・デムーロだ。トレーナーが内幕を明かす。「ミルコが凄く気に入ってくれて、初戦の後に“この馬、クラシックに行けるよ!”と言うんだよ。(春G1の)権利を獲ったら乗る、と向こうから言ってきたぐらいなんだ」

 そして今回、手綱は弟のクリスチャンに委ねられる。19歳の新星、大久保龍師はその手腕を高く評価する。「デビュー週に小倉で見ていて追い方が上手だなと感じた。この馬に合うんじゃないかと思う。馬のことは、ちゃんとお兄ちゃんに聞いておけよ、と言っておかないと」

 そのクリスチャンは先週の京都牝馬Sをドナウブルーで勝利。前走を兄で勝ち、バトンを渡された馬だ。今週、またも兄からバトンが渡った。今度も勝って再び兄へとバトンをつなぐか。期待は膨らんでいる。

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2012年2月2日のニュース