3月開催すべて取りやめ…「総理大臣杯」も中止

[ 2011年3月14日 06:00 ]

 日本モーターボート競走会は13日、東日本大震災の影響で3月末まで全国各地で予定されていたボートレースの開催を全て取りやめると発表した。関係団体の協議により決定したもの。これにより16日からボートレース戸田で開催予定だったSG「総理大臣杯」も中止となった。SG級レースの開催中止は1968年のMB記念(児島)以来2度目。

 13日の開催を取りやめていたボートレースは中止期間を延長、3月に予定されていた全てのレースを取りやめる。統括する日本モーターボート競走会、全国モーターボート競走施行者協議会、日本財団、BOAT RACE振興会、日本モーターボート選手会の協議で決まった。中止の決め手となったのは停電問題。同競走会は「東京電力から輪番停電を実施すると発表されており、全国の集計機器が集まっている笹川記念会館(東京都港区)も停電になる可能性がある。もし1時間でも停電になれば、その影響は半日以上に及ぶ。公正かつ安全なレースができないと判断し中止することにした」と説明した。

 3月の目玉だった総理杯(16~21日、ボートレース戸田)は今年上半期に関東地区で唯一開催予定だったSGレース。6日間で125億円の売り上げ目標を掲げ、すでに場内装飾やイベント、パンフレットなどの告知を完了していた。「中止決定を受けて場内装飾など撤去に着手した」と同レース場。代替開催については白紙で、今後の協議により決定する。

 地震によるボートレースの中止は、05年3月20日の福岡県西方沖地震による福岡とからつ以来。SGの中止は1968年10月のモーターボート記念(ボートレース児島)以来43年ぶり2度目となる。この時は同年9月23日に同レース場で起きた騒じょう事件により、運輸省(現・国土交通省)から主催者の倉敷市に開催停止命令が出され中止となった。

 ボートレース開催の今後については「4月1日以降に初日を迎えるレースから順次、再開していく予定。ただ、停電などの状況によっては変更になる可能性もある」(同競走会・広報課)としている。

 ▼中島孝平(総理杯ドリーム戦1号艇の予定だった)地震があった時は蒲郡を走ってたんですけど、こういう状態の時にレースをしていいのかなと思っていました。自分たちに何かできることがないか、これから考えていきたい。

 ▼川崎智幸 今回、(児島MB大賞を)途中帰郷した東京支部の3選手は家が地震の被害を受けていたので…。みんな家族を大事にする選手だから、開催が続いても集中力が続かなかったと思います。開催中止で一歩後れを取った業界だから、今後は逆に率先して義援金とか業界を挙げて協力したい。

 ▼山本隆幸 こんな状況なので開催中止は仕方がない。(兵庫支部の)僕らは阪神淡路大震災から立ち直ってきたので、被災者の方も復興を目指して頑張ってほしいし、僕らも頑張るしかない。

 ▼魚谷香織 テレビを見ると胸が痛みます。確かに、今、開催をやっている場合じゃないと思います。

 ▼市川哲也 新聞で(東北楽天の)星野監督の「開幕どころじゃない」というコメントを見て僕もそう思いました。

 ≪ボートピア川崎、今も連絡取れず≫地震発生から2日が経過し、レース場やボートピアの被害状況が徐々に明らかになってきた。群馬のボートレース桐生ではスタンドのガラスが割れ、壁に割れ目が入っているという。また、コンクリートの床にも亀裂ができているもよう。東日本大震災が起こった11日にオープンしていた宮城県黒川郡のボートピア大郷では有料席の天井が一部崩落したとの情報が入っているが、今のところファンや関係者の中から死者やケガ人が出たとの連絡はない。ただ、同県柴田郡にあるボートピア川崎とは、いまだ連絡を取れない状況が続いている。

 ≪地震発生翌日、統制取れず…≫地震発生の翌12日は開催予定の17場のうち多摩川、平和島、福岡の3場が中止にしたが、残る14場は予定通りレースを開催。各場の対応が異なり、ボート界全体の統制が全く取れていなかった。これについて競走会は「電話の不通などにより情報が錯そうし、対応が主催者任せになってしまった。その結果、一貫した対応ができなかった」と説明した。

 ◆児島騒じょう事件 全国モーターボート競走施行者協議会50周年記念史によると、1968年9月、本命艇が着外となったことに不満を募らせたファンが暴徒化。児島レース場の施設を破壊したため、主催者の倉敷市は事態収拾のため現金を支払った。運輸省はこの措置が競争法(独占禁止法)違反にあたるとして、同市に1カ月の開催停止命令を下した。

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2011年3月14日のニュース