被災地に勇気を…トーセンジョーダン抜かりなし

[ 2011年3月14日 06:00 ]

阪神大賞典に向け調整するトーセンジョーダン

 競馬を通し被災地に明るい話題を提供できるかもしれない。関係者はその思いで日々、ベストを尽くしていく。美浦トレセンでは断水、コース閉鎖など混乱が続く中で調教が行われている。「やれることをやるだけ」の信念は変わらない。一方、栗東ではAJC杯を制したトーセンジョーダン(牡5=池江)が阪神大賞典に向け調整中。宮城県を拠点にするオーナーに吉報を届けるためにも、仕上げに抜かりはない。

 無事を願うことしかできないのがもどかしい。多くの関係者が不安を募らせている。北海道や東北は牧場が多いエリアとあってトレセンとのつながりが深い。

 13日朝、池江師が心境を明かした。「うちは宮城県の山元トレセンに2頭と福島県の天栄ホースパークに1頭。馬の無事は確認できたが、山元の最寄り駅は壊滅状態みたいで…。向こうに知り合いもたくさんいるし、心配ですね」

 今週末の開催があるかどうかも分からない状況。それでも準備だけはしっかりしておく。池江師はいつも通り、調教を見守った。「いつレースが行われても馬が全能力を発揮できるように仕上げていきたい。僕らにできることはそれだけだから」

 阪神大賞典に向けて調整しているトーセンジョーダンは坂路を4F56秒6~1F13秒6で駆け上がった。「1回使っているし仕上げやすい」と師が言うように前走・AJC杯を制した後も順調に調教をこなしてきた。

 オーナーの島川隆哉氏が代表取締役社長を務める株式会社ジャパンヘルスサミットは本社が宮城県仙台市にある。「オーナーの本拠地が宮城県だし、担当の方に連絡がつかないから心配している。トーセンジョーダンと翌週(毎日杯)のトーセンレーヴでいい結果を出して、少しでも従業員の皆さんを勇気づけることができれば」。どんな形でも少しでも力になれれば。師の言葉にはそんな思いが込められていた。

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2011年3月14日のニュース