【有馬記念】ダノンシャンティ“常識”破り

[ 2010年12月22日 06:00 ]

坂路を駆け上がるダノンシャンティ

 ダービーの無念を晴らせるか。骨折のためダービーは出走取り消しとなったダノンシャンティが復帰戦に選んだのはグランプリ有馬記念。NHKマイルC(1着)以来となるだけに、常識的には厳しいが、陣営は仕上げに自信満々。G1馬の底力で首位争いに割って入る。

 悪夢のダービーから7カ月半。ダノンシャンティがターフに、しかもグランプリの大舞台で戻ってくる。ダービーの枠順確定後に右後肢の骨折が判明。その後は放牧には出ず、厩舎で治療に専念。秋を迎えて乗り運動を再開し、10月14日に故障後初の坂路入り。今月に入ってからはCWコースでの併せ馬も取り入れ、ライバルに負けないだけの調教量を消化してきた。
 「ダービーのことは今でも申し訳なく思っている」。松田国師はそう前置きすると出走を決意した経緯を語った。「骨折は完治した。後ろ脚を痛めた馬は負担の大きい坂路調教を控えたいが、痛めた部分にもしっかり負荷をかけ、大丈夫というところまで持っていかないといけない。先週はモンテクリスエス(オープン馬)と併せてハードにやった。ハロー(整地)前の荒れた状態で時計は掛かっているが、相当に動いている。有馬に使える状態だと思う」
 脚元の不安が消えたのはもちろん、馬自身も確実な進化を遂げている。師はプロの視点で走るフォームに着目する。「春のNHKマイルCまでは、しっぽのポジションが不安定だった。歩く際も突っ張った感じだったし、体のどこかが気になっていたのでしょう。獣医やスタッフが入念なチェックをしても原因が分からなかったが、結果として骨折につながってしまった」と未完成だった春を振り返った。そして「今は沈むように自然体で歩いているし、体に柔らかみが出てスムーズに動かしている。日々のトレーニングで苦しがると仕上げていくのも大変だが、今は力みがないので馬も落ち着いている」
 NHKマイルCで見せた切れ味は、マイル向きとの声もあるが師は意に介さない。桜花賞馬ダイワスカーレットを調教で鍛え上げ、2年前の有馬を圧勝した経験もある。「常識で考えていてはそれ以上の成績は残せない」。骨折の悪夢を乗り越え、常識を覆す走りでファンの度肝を抜くか。

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2010年12月22日のニュース