【エリザベス女王杯】1着スノーフェアリー

[ 2010年11月15日 06:00 ]

<京都競馬11R・エリザベス女王杯>スノーフェアリーの上で手を挙げるR・ムーア

 英国の3歳女王が衝撃の破壊力を見せつけた。「第35回エリザベス女王杯」が14日、京都競馬場で行われ、英愛オークス馬スノーフェアリーが内ラチ沿いを鋭く伸び、2着メイショウベルーガに4馬身差つけて圧勝、褒賞金を含め1億8000万円を手にした。エドワード・ダンロップ師(42)は日本初勝利。ライアン・ムーア騎手(27)は凱旋門賞(ワークフォース)でナカヤマフェスタを退けたが、またも日本馬相手に大仕事を果たした。G1・5勝目が懸かったアパパネは3着に滑り込むのが精いっぱいだった。

 何という切れ味。5万観衆は興奮を超えて、あっけにとられていた。
 4コーナーを7番手で回ったスノーフェアリー。欧州トップ牝馬の凄みを見せつけたのは、そこからだ。ムーアの右ムチがうなると、まるで瞬間移動のようにインへと取り付いた。残り250メートルで先頭。一瞬で後続を8馬身突き放した。強い!!外からメイショウベルーガが脚を伸ばしたが、すでに勝負あり。2着との4馬身差は3歳限定戦時を含め最大着差。エリザベス女王杯史に残る、衝撃の圧勝だった。
 「前がポッカリと空いて、馬が自然とラチ沿いに行った。その方が走りの焦点が合うんだ。ギアを上げた瞬間のスピードがケタ違い。英愛オークスより今回の方が強かった」。今年の英ダービー、凱旋門賞を制した欧州トップジョッキーのムーアも驚く強さだった。
 アパパネ、アニメイトバイオ、メイショウベルーガが強敵とにらみ、道中は3冠馬を背後からマークしたムーア。ライバルが外へと回す中、敢然とインへ。馬を信じ切った騎乗が光った。「馬に自信があふれていた。春より筋肉も付いていた。感動した」。普段はシャイで、うつむきながら話すが、馬上では迫力たっぷりに追いまくる。ムーアと馬の個性が最高に融合した勝利だった。
 「ずっとひとりぼっちで調教していたのに、寂しがることもなく、最高の状態を維持した。この馬にはいつも驚かされる。凄いハートの持ち主だ」。ダンロップ師は感動に震えた。この馬に関する師のジャッジは神がかっていた。しぶるオーナーを説き伏せ、追加登録料(約260万円、約470万円)を支払って英愛オークスを制覇。秋は欧州、米ブリーダーズCなどの選択肢を捨てて日本へ。見事に褒賞金込みで1億8000万円のビッグボーナスを手にした。
 今後はオーナーサイドの決断次第だが、日本に残ってジャパンC(28日、東京)に向かう線が濃厚。「馬がスケールアップしたことをオーナーに伝えたい。ブエナビスタを倒すのは今しかない」。ダンロップ師は力強く語った。日本最強馬か、本場の名牝か。凄まじい切れ味が今度は東京の直線でうなりを上げる。
 ◆スノーフェアリー 父インティカブ 母ウッドランドドリーム(母の父チャーンウッドフォレスト)牝3歳 英国・ダンロップ厩舎所属 馬主・アナモイン社 生産者・愛国ウインドフラワーオーバーシーズホールディングス 戦績12戦5勝 総獲得賞金約1億7766万4000円。

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2010年11月15日のニュース