1着ジョーカプチーノ

[ 2009年5月11日 06:00 ]

<NHKマイルC>G1初制覇に喜ぶジョーカプチーノの藤岡康太

 3歳マイル王決定戦は、またも大波乱。G1「第14回NHKマイルC」が10日、東京競馬場で行われ10番人気の伏兵ジョーカプチーノが優勝。管理する中竹和也師(44)、騎乗した藤岡康太騎手(20)は、ともにうれしいG1初制覇となった。2着に5番人気レッドスパーダ、3着に13番人気グランプリエンゼルが入り、3連単は238万1660円とG1史上5番目の超高額配当。また、1番人気ブレイクランアウトは9着に敗れた。

 府中名物の長い坂を登り切ったタイミングで先頭に躍り出たジョーカプチーノ。はるか後方では、ブレイクランアウトやアイアンルックといった上位人気馬が馬群の中でもがいたまま。馬上の藤岡康の耳に、ライバルの蹄音は聞こえてこない。それでも「少し抜け出すのが早い」と感じた鞍上は必死に右ムチを振り下ろす。激励に応えるようにゴール手前で再加速。追いすがるレッドスパーダを突き放し、ゴールを駆け抜けた。
 人気馬総崩れ。3連単が200万円を超える波乱劇の主役を務めた藤岡康は、騒然とする場内を淡々と引き揚げてきた。デビュー3年目の20歳は今回が2度目のG1騎乗だったが、初のお立ち台でも堂々とした受け答え。「出るからには勝つつもりで乗った。ものすごくうれしい。帰ってからカプチーノを飲みたいです」と粋な切り返しで報道陣を笑わせた。
 「位置はどこでもいい。とにかく折り合いにだけ専念してくれ」。レース前の中竹師の指示通り、藤岡康とカプチーノは逃げたゲットフルマークスの後ろでピタリと折り合った。直線を向いても、先頭に立っても手応え十分。「後ろから何も来ないでくれと思いながら必死に追った。直線は凄く長く感じた」と振り返ったが、終わってみればキングカメハメハ(04年)のレースレコードを更新する完勝だった。
 「きょうは康太を褒めてあげたい」。鞍上と同じく初のG1タイトルを手にした中竹師は、まず好騎乗を称えた。実は6日に行われた最終追い切りに藤岡康は遅刻した。「一度は乗り代わりも考えた」という師は「スタッフに迷惑をかけたんだから、結果を出して来い。そうしたらみんなが許してくれる」とハッパをかけて送り出し、反省した鞍上もまた親心に応えた。
 若武者の好騎乗はもちろんだが、馬の成長も見逃せない。2歳時のカプチーノはソエ(若駒特有の管骨の痛み)に悩まされた。だが、ボーンスクレーティングと呼ばれる骨膜増強手術の効果もあり、徐々に弱点を解消。3月のファルコンSで重賞初Vを達成すると、あっと言う間にG1の頂点まで上り詰めた。
 「きょう内容なら折り合いの不安はなくなった。距離を延ばしてみたい」。中竹師はダービー挑戦に前向きだ。圧倒的な強さで3歳マイル王の座をもぎ取ったカプチーノの走りを、ダービーの舞台でも見てみたい。(浜田 公人)

 ▼ジョーカプチーノ 父マンハッタンカフェ 母ジョープシケ(母の父フサイチコンコルド)牡3歳 栗東・中竹和也厩舎所属 馬主・上田けい子氏 生産者・北海道浦河町ハッピーネモファーム 戦績9戦4勝 総獲得賞金1億7167万6000円。

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2009年5月11日のニュース