間もなく最終回「ばけばけ」髙石あかり 演出の泉並敬眞さん「想定の100倍素敵な表情」

[ 2026年3月24日 08:30 ]

連続テレビ小説「ばけばけ」でトキを演じる髙石あかり(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHK連続テレビ小説「ばけばけ」が3月27日に最終回を迎える。大きなヤマ場を前に、ここまで主人公・トキを演じて来た髙石あかり(23)の役者としての魅力を、改めて演出の泉並敬眞さんに尋ねた。

 ──なぜ髙石さんがトキ役だったのでしょうか?
 「最終オーディションのお芝居が本当に面白かったんです。トキがヘブンさんに怪談を語る場面のお芝居をやってもらったのですが、言葉が通じない2人がどうコミュニケーションを取るかという場面で、僕らもそれがどんなお芝居になるのか想像できていませんでした。トキは言葉が通じない時、どのように自分の気持ちを伝えるのか…。髙石さんはただ一生懸命に伝えようとしているだけなのに、そこにドラマを生み出しました。同席していた脚本のふじきみつ彦さんが『これなら僕があまりセリフを書かなくても大丈夫ですね』とおっしゃったほどです。髙石さんは人が人に何かを伝えようとする姿がドラマになるということを僕らに教えてくれました」

 ──実際に撮影を始めた後の印象はどうですか?
 「僕は彼女の揺れるお芝居が好きでした。例えば彼女が主演した映画『ベイビーわるきゅーれ』シリーズでは感情が0から一気に100まで行く印象でしたが、この作品では0から1のところで揺れる印象を受けました。僕が演出を担当した回はトキが感情を抑える場面が多くて、例えば本当の父親の傳さんを亡くした時、感情があふれ出そうになるところを抑え込む。自分がラシャメンになるかどうかという時、本当の母親のタエさんを見て、悲しみや怒り、絶望など、さまざまな感情を渦巻かせる。そんな時の揺れるお芝居が素敵だと感じました」

 ──演出で心がけたことは?
 「あまりカットを割りたくありませんでした。カットを割ると0~100になってしまう。彼女が揺れてどうなるか。それを静かに見守りたいと思っていました」

 ──特に印象に残る芝居は?
 「第12週でトキがヘブンに怪談を語るシーンです。最終オーディションで見せてくれた素晴らしい芝居が更新されていました。あの週ではまだヘブンさんとトキは主人と女中の関係でしたが、次の週までに2人の関係性を近づけなければならなかった。そのためにトキが大好きな怪談をヘブンさんに語る場面が重要だと思い、リハーサルで髙石さんに『自分が好きなものを相手に伝えるのはとても勇気がいることだと思います』と話しました。髙石さんは『それは凄くいいですね』と共感してくれました。あのシーンでトキの気持ちがヘブンさんに伝わり、ヘブンさんの気持ちを受け取り、心底うれしそうな表情を見せる。その表情が素晴らしい。きれいで、かわいくて、艶っぽくもありました。僕が想定していたより100倍くらい素敵な表情でした」

 ──髙石さんの魅力の源は何だと思いますか?
 「芯の強さだと思います。彼女は小さい頃から朝ドラのヒロインになる夢を抱いていました。その芯があるから、さまざまな道を歩んで来る中でぶれることがなかった。強さを持っているから、いろんなことができる。世界の作品の中で最もセリフ量が多いと思われる朝ドラのヒロインを務めるのは大変なことですが、それでも、彼女は撮影中ずっと『楽しい』と言い続けました。凄い強さだと思います」

 ──いま髙石さんに伝えたいことは?
 「感謝です。第24週にトキが泣くシーンがありました。台本には書かれていなくて、僕自身もそこで髙石さんが泣くとは考えていませんでした。撮影前、髙石さんが『もし泣いてしまったら、それでもいいですか?』と言うので『いいですよ』と答えました。トキは明るく生きて来たけれど、その裏にはやはり大変な苦労があって、涙が出た。それがあのシーンに表れていました。表現できたのは、髙石さんがトキとして1年間生きて来てくれたからです。僕はあのシーンが好きです。本当にありがとうございました」

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。

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