劇場へGO「松竹 上方喜劇まつり」 藤山直美がさすがの熱演「一姫二太郎三かぼちゃ」「お祭り提灯」

[ 2025年11月8日 18:37 ]

「一姫二太郎三かぼちゃ」で留代を熱演する藤山直美。この「カステラのシーン」では客席からも、すすり泣く声が
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 藤山直美(66)が父、藤山寛美が松竹新喜劇の名作として育て上げてきた「一姫二太郎三かぼちゃ」「お祭り提灯」の2本立てで、さすがの熱演を見せた。

 何度見ても泣いてしまうのは「一姫二太郎…」。1932年(昭7)に違う題名で初演された家族の物語だが、今回は現代風にうまく、自然にアレンジできていて、しかも「根っこ」に流れるテーマはブレず。どんな時代でも、誰もが抱える介護や兄弟たちとの向き合いを考えさせられる名作だと思う。

 田舎の旧家、西田家は3男2女の大家族。しかし、今は次女の留代(藤山直美)以外、いずれもエリートとして東京や大阪で成功している。小さい頃から勉強が苦手だった留代は自然の流れで年老いた両親の面倒を見ながら、実家で暮らしているが、兄弟たちは彼女をバカにし続けていた。

 そんな中、母の喜寿の宴席で騒動が勃発。エリート兄弟たちは、誰もが大風呂敷を広げ成功を自慢し、留代に下働きを押しつけるのだが大逆転劇が待っている…という展開。細かく説明するのはヤボなので割愛するが、母親の優しさに触れる「カステラのシーン」は、テッパンで涙腺が緩んでしまう。直美も時に涙をにじませ、アドリブではドッとわかせて客席を自由に操っているかのようだ。

 結末が分かっていても、いつも笑えるのが「お祭り提灯」。こちらも、寛美が演じてきた丁稚・三太郎を直美が好演。笑えるだけじゃなく、あらゆる立場からの「金銭欲」がにじみ出る名作だが、この三太郎の願いは「今日のお祭りに行きたい」だけ。上演前は「60歳ぐらいサバ読みます」と冗談交じりに話していたが、素直さやかわいらしさがよく出ていた。

 あまり舞台を見ない知人が「いやあ、何かいいですね」と感想を伝えてくれた。まさに理屈じゃなく日本人の心に響く舞台。こういう名作の数々を若い世代もぜひ、引き継いでいってもらいたい。 (土谷美樹)

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