オチに工夫を施した三木助流「文違い」に感銘

[ 2025年10月4日 21:15 ]

浅草演芸ホールの10月中席で主任を務める桂三木助のチラシ
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 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】五代目桂三木助(41)が東京・浅草演芸ホールの10月中席(11~20日)で主任を務める。若き実力派の高座が楽しみだ。

 その三木助、9月22日に池袋のHall Mixaで「五代目の挑戦vol.15」を開催した。おなじみの開演前の映像が新しくなっていた。放送中のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」にはまっていると明かす三木助。蔦谷重三郎が編んだ「吉原細見」の表紙がめくれて吉原の景色がリアルな映像で映し出される趣向。風情があって思わず見とれてしまった。

 冒頭の三木助のあいさつが面白かった。ゲストの笑福亭ベ瓶(42)を紹介したくだり。昨年、浅草演芸ホールで主任を務めた際にも出演してもらい、評判を呼んだべ瓶。今年もお願いしようとしたら…なんと4月に落語芸術協会に客員として加入していて、それもかなわなくなったというオチ。

 意外な展開で笑わせておいて、そのまま一席目に突入。披露したのが「千両みかん」だった。大店の若だんなが病床に伏せる。原因は「みかんが食べたい」というものだった。

 番頭さんは安請け合いするが、季節は夏。江戸中の店をかけずりまわってもどこにもない。へとへとになりながら行き着いたのが一軒の果物問屋。蔵の中の箱から1個だけ無傷のみかんが見つかったが、その値段が千両…という話。一房百両。のれん分けも近い番頭さんだが、とんだ行動に出る。良く出来た噺だ。

 続いて登場したのがべ瓶で、「落語芸術協会の笑福亭ベ瓶です」の自己紹介でくすっとさせた。笑福亭鶴瓶(73)の弟子で、2009年から東京を拠点に活躍している。

 とにかくパワフルな高座。上方のお笑いといえば、まず思い浮かべるのが漫才。「負けてなるものか」と、元気で威勢のいい上方の落語家は少なくないが、この人もそんな一人かもしれない。

 まくらから全力投球。老人ホームを慰問した際、前に座ったおばあさんから噺の途中に「あんた杉良太郎に似てるな」と言われたエピソードを披露して爆笑を誘った。

 時間オーバー気味のまくらで客のハートをつかんだべ瓶がかけたのが「地蔵の散髪」という珍しい一席。お地蔵さんの頭に鳥もち(ゴム状の粘着質の物質)を塗り、それにまたがって尻の毛を抜こうというバチ当たりな噺。「東京ではやったらあかん」と師匠から言われていたそうだが、この日はアクションもたっぷり大熱演で沸かせた。客席には小さなお子さんが何人かいたが、ピンと来なかったのだろう。静かに寝息を立てていた。

 中入りを挟んで準レギュラーと言っていい二つ目の金原亭杏寿(36)が登壇。「動物園」でご機嫌を伺ったが、べ瓶の毒気に当てられたか、いつもと勝手が違って見えた。

 そして最後は三木助が「文違い」で締めた。内藤新宿の岡場所の女が惚(ほ)れた男のため、ウソを重ねてなじみ客から金をだまし取ろうと画策するが…。初代柳家小せんの作と伝わる郭(くるわ)話で、「いや、やめておこう。それを言ったら。おらが間夫(浮気相手)だとわかってしまう」が定番のサゲだが、三木助は工夫を凝らして変えていた。

 本寸法の丹精な芸。独演会の度に感じる成長がうれしい。今回も江戸の風を感じた。

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