【売野雅勇 我が道13】ラッツ&スター「〇□のひと」 コピーライターはまさかの母校の先輩

[ 2025年8月14日 07:00 ]

「め組のひと」の直筆歌詞。タイトルは機密で「○□」としてあります
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 シャネルズの曲で本格的に作詞家としての人生が始まったと感じていました。

 当時、麻生麗二のペンネームを使ったのは、大好きだったブライアン・フェリーのミステリアスな雰囲気を漢字に“翻訳”したいと思ったのと、僕のアイドル・今野雄二さんへのオマージュです。

 縁があり、シャネルズのデビュー曲「ランナウェイ」の作曲をした井上大輔さんと同じ事務所「マッドキャップ」に1981年5月から所属することに。井上さんとはその後、郷ひろみ「2億4千万の瞳―エキゾチック・ジャパン―」などたくさんの曲を作ることになっていきます。

 シャネルズが「ラッツ&スター」に改名した83年。ラッツとしての第1弾シングル「め組のひと」も井上さんと作った楽曲でした。タイトルの「め組のひと」は資生堂の夏のキャンペーンのキャッチフレーズとして、資生堂宣伝部のスター・コピーライターの方が考えたものです。

 普段僕は作詞をするときに「タイトルと最初の2行を決めること」を大切にしています。

 それで原稿の一番目立つ上部にタイトルを大きく書くのですが、この時は初回の打ち合わせで全ての内容を「機密」にするよう言われていました。ですから原稿にも「〇□のひと」と書いていますね。

 最初はCM用の30秒を作ってほしいと依頼され、絵コンテには15秒で1回、30秒で2回「めッ!」と入れてくれと指示がありました。絵コンテにあったお祭りで神輿(みこし)を担ぐシーンや、「め組」のまといのカットからの連想で、江戸情緒を切り口に、♪いなせだね 夏を連れて来た女(ひと)――と16小節、30秒分の歌詞が先に生まれました。

 最終的にフルサイズの曲としてラッツ&スターが歌いましたが、いろいろなアーティストにカバーされ今も親しまれており、秀逸なコピーだったなぁと思います。

 5年ほど前に初めて知ったのですが、「め組の人」というコピーを考えた資生堂の有名なコピーライター・小野田隆雄さんが、我が母校・足利高校の先輩だと聞いた時は心底驚きました。広告会社に勤めていた時代、小野田さんは、唯一尊敬する詩人の魂を持ったコピーライターでした。

 いつか一緒に仕事をしたいと憧れてはいましたが、作詞家として夢をかなえることができるとは考えていませんでした。

 ◇売野 雅勇(うりの・まさお)1951年(昭26)2月22日生まれ、栃木県足利市出身の74歳。企業のコピーライターなどを経て、81年作詞家に。中森明菜「少女A」、チェッカーズ「涙のリクエスト」、郷ひろみ「2億4千万の瞳」などのヒット曲を生み出した。これまでに1500曲以上の歌詞を制作。2026年に活動45年の節目を迎える。

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