【売野雅勇 我が道12】シャネルズと仕事ができる!! “11人目のシャネルズ”に感激

[ 2025年8月13日 07:00 ]

シャネルズ「Heart&Soul」のジャケット
Photo By 提供写真

 1980年の初秋、作詞家としての仕事が始まりました。

 EPIC・ソニー(現エピックレコードジャパン)で制作ディレクターをしていた目黒育郎さんに呼ばれ、会議室で聴いたのはレコードデビューを控えた河合夕子さんの曲でした。

 コピーライターとして仕事をする時は、商品の魅力をひと言で伝える言葉が重要と考えていました。カーリーヘアと丸い眼鏡が印象的な彼女の自作曲を聴いた僕はその魅力を伝えるため「言葉のポップアート」というテーマを提案。ポップで懐かしいメロディーに乗せ、♪キンラメNightに 踊ろうよ――という歌詞を書いた「東京チーク・ガール」は翌年2月に彼女のデビュー曲として世に出ました。

 河合さんの仕事と並行し、目黒さんからシャネルズの歌詞制作も依頼されました。ドゥーワップを主体としていたカッコいい彼らと仕事ができる!うれしくて、どんな未来が始まるのだろうと興奮しました。

 鈴木雅之さん、田代まさしさんと会ったのは、レコード会社のアーティストルーム。ジーンズ、黒の革ジャン姿の2人は礼儀正しく、おとなしい印象でした。テーマなどを話し合っている時に、突然鈴木さんが「関係ないですけど、売野さんっておいくつですか?」と尋ねられました。「29歳です」と答えると「僕らより5コ上ですね」と襟を正した様子で丁寧に返してくれました。縦社会で育った彼の筋の通し方に、温かな人間味を感じました。

 ある一曲を取り上げ「これは、労働歌にしたらどうか?」と提案すると2人とも驚いた顔をするので、ハリー・ベラフォンテの『バナナ・ボート』とか黒人が綿摘みをする時のワークソングの意味だと伝えると田代さんは「労働組合の人が歌うような暗い歌かと思った」と冗談を言って笑ってました。81年3月発売の2作目のアルバム「Heart&Soul」に収録された「星くずのダンス・ホール」、「スマイル・フォー・ミー」2曲の歌詞を「麻生麗二」のペンネームで書きました。

 鈴木さん作曲の「星くず…」はソウルフルな曲。今でもライブで歌ってくれています。40年以上も歌われる曲になるとは思っていなかったのでうれしいです。コンサートで僕を「11人目のシャネルズ」と紹介してくれたこともあり、戦友みたいな気持ちです。

 時を超えた愛を歌うこの歌詞は2017年に他界した作詞家の山川啓介さんの作品を下敷きにしています。まだ何者でもなかった20代半ば、初めて買った邦楽のレコードが山川さん作詞の矢沢永吉「時間よ止まれ」でした。♪罪なやつさ ah PACIFIC――という歌い出しに驚いて繰り返し聴きました。山川さんの歌詞に魂を震わせたあの時間が僕の言語感覚を鋭敏にし、今も僕の中に生き続けていると感じます。

 ◇売野 雅勇(うりの・まさお)1951年(昭26)2月22日生まれ、栃木県足利市出身の74歳。企業のコピーライターなどを経て、81年作詞家に。中森明菜「少女A」、チェッカーズ「涙のリクエスト」、郷ひろみ「2億4千万の瞳」などのヒット曲を生み出した。これまでに1500曲以上の歌詞を制作。2026年に活動45年の節目を迎える。

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